米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に伴う新基地建設に向けて投入されている土砂(岩ずり)に関し、沖縄防衛局が価格調査後に単価を追記したと説明したことについて、市民や識者からは25日、工事費が決まる過程や公文書管理に「不信感を生む」との批判の声が上がった。
沖縄平和市民連絡会メンバーの北上田毅氏は「防衛局の説明は全くおかしい」と強調する。「入札公告は設計図書で工事費が確定し、入札予定価格が設定されて行われる」と述べた上で「2017年11月時点で岩ずりの単価が決まっていなかったなら、工事費そのものが決まっていなかったことになる。入札作業に入ることはできなかったはずだ」と指摘した。
沖縄大・沖縄国際大特別研究員の宮田裕氏は「国が作成する公文書の内容が、いつ修正・追加されたか分からないこと自体が不信感を生む。つじつま合わせで、全く透明性を感じない説明だ」と述べた。
一方、防衛局に見積もりを提出したとみられる事業者は25日、本紙の取材に対し「個別の事業について、第三者に答えることはない」と述べた。土砂価格の算定理由を問う質問にも同様に回答。防衛局と見積もり前の調整の有無については「特に把握していない」とし「それを確認することはない」とも述べた。
◆「問題はない」 岩屋防衛相
【東京】名護市辺野古の新基地建設で使われる埋め立て土砂(岩ずり)を巡り、沖縄防衛局が見積もり依頼前に設定した単価が業者の提示額と一致していた疑いについて、岩屋毅防衛相は25日の会見で「誤解がある」と述べ事実関係を否定した。依頼前の2017年11月の文書にはもともと単価は記載されておらず、価格調査を実施し業者から回答を受け取って後に単価を「追記した」と説明した。文書の取り扱いや一連の手続きに「問題はなかった」とも強調した。