米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に伴う新基地建設で、埋め立て用土砂(岩ずり)の価格設定に関する疑惑を巡り、沖縄防衛局は27日、本紙に対し見積もり後に設計図書に土砂単価を追記したとする資料を開示し「追記された経緯がしっかりと確認できる」とし、価格が事前に決まっていなかったと説明した。一方、識者は「価格が決まらない段階で入札はできないはずだ」と手続きを問題視している。
防衛局が開示した「補足説明書」によると、2017年11月の入札公告時には、土砂の単価は明記されていない。その後、同年12月に開始した資材価格の見積もりを18年1月25日に追記したという。
法政大学名誉教授の五十嵐敬喜氏は「予定価格という土台が決まらないうちに入札に踏み切ったことになる」と指摘。1社による見積もりを疑問視し「出来レースとしか言いようがない。県民、国民の反発を買うだけだ」と批判した。
設計図書と業者の受注価格が一致することを示す資料を入手した沖縄平和市民連絡会メンバーの北上田毅氏は「工事費が確定していない段階で入札を開始したことになる。あり得ないことだ」と指摘した。
埋め立て用土砂の単価は、同じ辺野古移設工事の護岸用土砂の単価の約3倍となっている。また、沖縄総合事務局が使っている資材価格と比べて割高な単価となっている。埋め立て用土砂は防衛局から依頼を受けた調査会社が13社に見積もりを依頼。1社が回答し、その会社が受注した。