辺野古反対の民意示すも政府は工事続行 参院選翌日、沖縄県、市民が反発 官房長官「全力で取り組む」


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抗議する市民の前を通って基地内に入る工事車両=22日午後、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前

 菅義偉官房長官は22日の会見で、参院選沖縄選挙区で名護市辺野古の新基地建設に反対する高良鉄美氏(65)が勝利したことに関し「地元の理解を得る努力を続けながら普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現し、基地負担の軽減に努めたい。そのために全力で取り組む」と述べ、米軍普天間飛行場の辺野古移設を進める考えを示した。政府は選挙翌日の22日も、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブのゲート前、同市安和の桟橋、本部町の本部港塩川地区の3カ所で土砂などの搬入を強行し、玉城デニー知事や市民が反発した。

 県内では昨年の県知事選や今年2月の県民投票、4月の衆院沖縄3区補選に続き、辺野古移設に反対する民意が改めて示された。参院選投開票日翌日の22日からの作業で、選挙結果にかかわらず工事を強行する姿勢を明確にした形だ。大浦湾海上では台風対策のため開放していたフロートを閉じる作業を進めた。

 移設計画に対する県民の根強い反対が改めて示されたことへの対応を問われ、菅長官は「(普天間飛行場の危険性を)このまま置き去りにしていいとは誰も思っていないと思う」と強調した。「住環境やさまざまな環境整備をしながら、そこは進めさせていただきたい」と話し、辺野古移設の必要性に理解を求めた。

 菅長官が選挙結果にかかわらず、辺野古の埋め立て工事を進める意向を示したことについて、21日に初当選した高良氏は「参院選で示された民意は、強行している工事をおかしいとする民意だ。普天間飛行場の運用停止も見通せない中、政府は工事を強行することが目的のように見える。県民が反対しているにもかかわらず、先の見えない工期と巨額の税金を使う工事を強行する政府の姿を国民全体に問いたい」と批判した。