日米両政府は25日、基地の外で発生した米軍機事故の現場対応に関する「ガイドライン(指針)」について、日本側の警察や消防が現場に速やかに立ち入ることができるよう改定することで合意した。事故で有害物質が流出した場合の日本側への情報提供などについても明記した。日本側の立ち入りが明記された一方、事故機を米軍が管理する内容は従来通りで、立ち入りを含め、日本側が機体を捜査する際は引き続き米側の同意が必要になるなど、米側の裁量が残ったままの改定となった。同日から改定された内容が適用された。
指針は2004年に沖縄国際大(宜野湾市)であった米軍CH53ヘリ墜落事故での米軍の現場封鎖が問題となり、05年に日米両政府間で作成された。事故現場周辺の「内周規制線」を日米共同で管理すると規定したが、その後発生した米軍機事故で日本側の捜査当局の立ち入りが認められない事例が相次いでいた。
今回の改定で、環境調査や航空機事故調査などに関して、日米両政府の代表者が内周規制線内に「迅速かつ早期の立ち入り」ができると盛り込んだ。過去には米軍が機体の残骸とともに周辺の土壌を削って持ち去ったことなども踏まえ、財産に重大な影響を与える可能性がある場合は日本側が土地所有者と調整することも追記した。日米両政府や地元自治体が実施した環境調査の結果を、日米合同委員会を通じて共有するとの内容も盛り込んだ。
河野太郎外相は25日、改定について「万が一、米軍機による事故が発生した際の対応が多くの面で一層改善されることになり、重要な意義がある」と強調した。岩屋毅防衛相は「より適切な対応が迅速に行われるようになると考えている」と語った。