【記者解説】学ぶ環境は学内にあるが、学生の認知度低い 取り組みの検証を


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 沖国大ヘリ墜落15年を節目とした学生意識調査で、事故を風化させず継承しようという大学側の取り組みがうまく浸透していないことが明らかになった。事故を学ぶ環境は学内に整っているものの、学生の認知度は低い。取り組みの検証が必要だ。

 ヘリの回転翼により傷の付いた壁や燃え残ったアカギがあるモニュメント前では毎年13日、大学が普天間飛行場の閉鎖を求め平和を発信する集いを開く。しかし夏休みのため、学生らの参加は少ない。

 事故から15年、事故の記憶がない世代が増えている。大学によると、学内にいる正教職員は現在218人いるが、事故時からいるのは5割の109人だ。事故を体験し語り継ぐ人が少なくなっている現状もある。

 ある大学関係者は「墜落ばかりを強調すると危険な大学と思われ、学生が来なくなるのではないか」と話す。事故の継承に大学側は積極的だが、学生には強要できないという難しさを抱えている。

 調査では基地問題に関心がある学生は8割、図書館資料室に行ってみたいと答えた学生は6割に上ることも分かった。事故への関心があることがうかがえる。事故の記憶を継承していくため、大学ももちろんだが、地域や行政などの取り組みも必要だ。 (金良孝矢)