心の支えになる本100冊 沖国大生が患者思い選書 赤十字病院図書館にコーナー


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沖縄赤十字病院の患者図書館「健康への架け橋」内にコーナーを設置した沖縄国際大学日本文化学科4年の学生ら=13日、那覇市与儀

 沖縄県那覇市与儀の沖縄赤十字病院内にある患者図書館「健康への架け橋」に13日、「図書館司書をめざす沖縄国際大学生が選んだ100冊」のコーナーが設置された。設置したのは同大日本文化学科4年の9人。患者や家族の気持ちを考え、治療・入院中の心の支えになるような本を厳選した。

 学生らは学内の掲示板やツイッター(短文投稿サイト)で寄贈を募ったり、県立図書館の一括貸し出しを利用したりして本を集めた。患者へのアンケートも実施してニーズを把握し「明るい気持ちになれる本」「リラックスできる本」「感動する本・勇気をもらえる本」「リフレッシュ・気分転換ができる本」「悩みに答えてくれる本」の五つの分野に分け、棚を作った。

 同大の宮城伸尭さん(21)や宮里夏海さん(22)は「アンケートでは自分たちが考えつかないような本も需要があると分かった。ネガティブな内容を避け、明るい内容を心掛けた」と説明。利用しやすいように本を紹介する冊子も作った。

 元々、病気を知るのに役立つ本を多くそろえていた同図書館。学生らのコーナーが設置されたことで小説や写真集、自己啓発本なども並び、ジャンルが充実した。同図書館の久高千秋司書は「50~60代の利用が多いが、夏休みは学生も利用する。学生の視点で選んでくれたことで、いつもは読まない人も来てくれると思う」と感謝した。

 学生らは書店でのフェア開催や少年院での本の紹介などを通して図書館や出版業界の役割を学んでおり、今回の活動が学習の集大成だった。吉川まりのさん(22)は「司書になる前に実績を積むことができた」と話した。
 (稲福政俊)