【東京】沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」代表の具志堅隆松さん(65)が16日、厚生労働省社会・援護局の吉田和郎事業課長に対し、戦没者遺骨とのDNA鑑定を希望する遺族87人分の名簿を提出した。併せて戦没者家族の同定目的以外のDNAデータの利用禁止と、DNA抽出のために海外収集遺骨の火葬禁止を求めた。
ガマフヤーの名簿提出は今回で5回目。沖縄からの名簿84人分に、15日の靖国神社前で集めたものを加えた。具志堅さんは「沖縄で火葬せずに県に保管されている700体余の遺骨と慰霊塔の遺骨も対象にし、遺族も遺骨も増やして鑑定に臨んでもらいたい。沖縄の遺骨は沖縄科学技術大学院大学など県内の機関で鑑定できる体制を整えてもらいたい」と話した。
名簿提出に同行した戦没者の遺族・小谷野浩さん(78)は、2人の娘と孫娘も伴い「遺族も高齢化している。自分が生きているうちに明らかになるのか疑問もある。娘と孫までDNA鑑定に申し込んだ」と鑑定が進むよう希望した。
厚労省の吉田課長は、これまで提出された名簿と同様に希望者へ申請書を送り、希望者にはDNA鑑定に応じる考えを示した。DNAの目的外利用については「厳に慎んできたし、今後もそうだ」と述べた。
ガマフヤーが希望者から集めた約400人と厚労省が遺族から集めた分を合わせた約850人がDNA鑑定を希望している。
厚労省は、名前が分かる遺品を伴った遺骨について個別に遺族と連絡を取ってDNA鑑定を実施し、県内で5遺体の家族が判明した。だが国が広くDNA鑑定を始めてからは遺骨の家族は判明していない。