米国産農産物関税引き下げが沖縄に畜産業に与える影響は? ステーキ店は?


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 日米両政府の貿易交渉で、米国産牛肉や豚肉など一部の農産物の関税を環太平洋連携協定(TPP)の水準まで引き下げる方針が固まった。TPPや欧州との経済連携協定(EPA)の発効で次々と農産物の市場開放が進む中、県内畜産業界は影響を懸念する。一方、米国産の牛肉を多く利用する飲食店からは期待の声も聞かれた。

 JA沖縄中央会の大城勉会長は、市場開放が進むことによって県内の畜産業が打撃を受けることを不安視する。「関税は国内農業を守るものだ。豚肉は沖縄の食文化でもあり、年間約24万トンが消費されている。そこに安価な輸入肉が取って代わる可能性がある」と懸念する。

 また、現状では特定品目の輸入拡大が国内の競合業界に深刻な打撃を与える可能性がある場合に発動できる、緊急輸入制限(セーフガード)などの具体的な内容が開示されていない。大城会長は「詳細がまだ分からないので対策が取れない。政府には早急な情報開示を求めたい」と訴えた。

 県養豚振興協議会の稲嶺盛三会長は「価格の安い輸入豚肉が入れば県産豚の価格にも影響が出るだろう。現状は見守るしかないが、生産性を向上させ、いい豚肉を作って対抗するしかない」と話した。

 これに対し、県内を中心にステーキハウス「やっぱりステーキ」を展開するディーズプランニングの吉濱英策課長は「店舗ではほぼ米国産の牛肉を使っており、関税が下がるのは経営上のプラスになる」と効果を期待する。「10月以降はキロ単価で100円は下がるとみており、消費税増税後も現在の価格を据え置く考えだ」との計画を明かした。

 今回の日米貿易交渉に対し、県工業連合会の古波津昇会長は「沖縄関係で影響を受ける工業製品はそう多くないと思われる。ただ、食品関連など一部関係がありそうな業者の意見を聞いてみたい」と述べた。