戦争の記憶、後世に 八重山高10期生が傘寿で記念誌発刊


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 1958年に八重山高校を卒業した10期生がこのほど、傘寿(80歳)記念誌「人生交響楽」を発刊した。10期生はこれまでにも卒後40年、同50年、喜寿(77歳)記念と3回にわたって記念誌を出しているが「おそらくこれが最後になる」と、戦中、戦後の体験を募って掲載した。編集委員長を務めた三木健さん(79)は「今回初めて聞く話もたくさんあった。戦争体験を次世代に引き継ぐ意味でもやって良かった」と話す。

傘寿記念誌を手にする編集委員長の三木健さん(左)と大濱勝彦さん=27日、浦添市経塚

 ことし1月から同期ら約100人に執筆を呼び掛け、40人余が寄稿した。第1特集には過去3回の記念誌から抜粋したり、新たに証言を寄せてもらったりして「誌上座談会」を行った。

 第2特集には戦中、戦後体験を載せた。台湾や宮崎県、西表島へ疎開した体験や、山中に逃げて家族がマラリアで命を落とした話などを18人がつづる。台湾へ疎開する途中、乗っていた船が米軍機の攻撃を受けて遭難し、尖閣諸島の魚釣島に漂着した体験を寄せた女性もいた。

 編集委員の大濱勝彦さん(79)は、当初はどれだけの原稿が集まるか不安があったと明かす。予想より多くの寄稿があり「戦争中の5、6歳の時の記憶がいかに生々しく残っているかを実感した」と話す。三木さんも「われわれの世代が戦争の記憶が残っている最後の世代と言っていいと思う」と述べた。

 税抜き2千円。ジュンク堂書店那覇店、リブロリウボウブックセンター店、石垣市のタウンパルやまだで販売。9月20日正午からは那覇市のホテルロイヤルオリオンで出版祝賀会も行う。

※注:大濱勝彦さんの「濱」は、右側がウカンムリに「眉」の目が「貝」