沖縄在来の「島ヤギ(ヒージャー)」を普及させようと、八重瀬町の宮城正男さん(67)が繁殖に取り組んでいる。島ヒージャーは小ぶりだが、肉や油の質が良いと定評がある。宮城さんは繁殖を安定させて、将来的には沖縄県産のブランド豚「沖縄アグー豚」のように「島ヒージャーを食べる文化を県内外へと広げていきたい」との夢を抱き、自らの牧場で日々、汗を流している。
沖縄山羊文化振興会の平川宗隆会長によると、現在食用で広がっているヤギは1920年代に県外から入ってきた日本ザーネン種と島ヒージャーを掛け合わせた白色のものがほとんどで、体重50キログラム前後だという。それに対して、島ヒージャーは小柄で成長しても約20~30キログラムしかなく、黒や茶などの色が混ざるなど、見た目にも特徴がある。
宮城さんは県を退職後、島ヒージャーの繁殖に取り組んで9年目で、このほど牧場を今帰仁村から八重瀬町に移した。たまたま訪れた伊江島で島ヒージャーと出合い、2011年ごろから繁殖を進めている。
宮城さんは「最初の頃は子ヤギが病気にかかって死ぬなど苦労もあった」と繁殖の難しさを語る。病気にかからないよう上床を設置し、ヤギが直接地面に触れる機会を減らすなど、試行錯誤を続けた。飼育開始から約5年で繁殖は安定するようになったという。
28日には宮城さんの「みーつぴんざ(三匹のヤギ)」牧場で、初めてとなる試食会が開かれ、沖縄山羊普及発展友の会のメンバーらが集まった。汁にした島ヒージャーは油が少なく、透き通ってすっきりとした味わいながらも肉の味やうまみが溶け出していた。集まった会員からは「味が濃くておいしい。びっくりした」との声が上がっていた。