被災漁船、流れ流れて 岩手から8年かけ沖縄の金武に


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東日本大震災の津波にさらわれ岩手県釜石市から8年以上たって流れついた漁船=8月31日、金武町金武の海岸(中城海上保安部提供)

 東日本大震災の津波にさらわれ、行方不明になっていた岩手県釜石市の漁船「清昭丸」(0・8トン)が8月31日、沖縄県金武町金武の海岸に打ち上げられているのをパトロール中の中城海上保安部職員が発見した。長さ6・5メートルの船はエンジンなど動力部はなくなっており、震災から8年余、海をさまよい約1900キロ離れた同町の砂浜に漂着した。

 中城海保によると、漁船の所有者で岩手県釜石市の佐々木清文さん(74)は「まさか、今になって沖縄で発見されるとは」と漁船発見の一報に声を詰まらせたという。震災当時、佐々木さんは高台に避難し一命を取り留めたが、仲間の船など係留していた船舶のほとんどが津波に流された。流れ着いた漁船は船名の表示は確認できなかったが、漁船登録番号から釜石市の唐丹漁協に問い合わせ、所有者が判明した。