辺野古地盤改良、〝最悪事態〟想定しない政府の狙いとは


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 名護市辺野古の新基地建設を巡り、政府が大規模な地震を想定せずに軟弱地盤の改良工事は可能だと結論付けた背景には、これまで米側に対し何度も進展を約束してきた辺野古移設を早期に進めたいとの思惑がある。大規模な災害を想定して耐震性を検討した場合、工期の長期化は必至だ。工程や工期の不透明さを指摘する県側に十分な情報提供をしないまま作業を進めており、国と県の対立がより深まる可能性もある。

 県などはこれまで、辺野古周辺の活断層の存在を問題視してきたほか、海岸沿いの低地に滑走路が造られることから津波リスクを指摘する識者もいる。政府は6日に軟弱地盤の改良工事に向けた専門家らによる有識者会議を開催するが、政府は十分な情報提供や説明をしないままこれまで埋め立て作業を進めており、会議自体も「結論ありき」ではないかとの疑念が強まりそうだ。

 羽田空港など国内の主要空港では大規模な地震や災害に備えた耐震化が施されている。特に仙台空港(宮城県)が大きな被害を受けた東日本大震災後は、国土交通省などで緊急時に備えた耐震化や低地の空港の津波対策が議論されてきた。

 こうした経緯がありつつも、今年1月の報告書で防衛省は“最悪の事態”を検討対象から除外して地盤改良工事が可能だと結論付けた。代替施設の完成には軟弱地盤の地盤改良が必須となっているが、防衛省は大規模地震を想定しないまま県への設計変更の申請に向け検討作業を進めていることになる。政府は工費や工期について明確にしていないが、耐震性を含め安全性を確保できているかについても説明が求められそうだ。
 (當山幸都)