【単眼複眼】移設受け入れ自治体に手厚い配慮 沖縄県とは平行線 就任後初来県の河野防衛相がみせた対応とは…


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 河野太郎防衛相は29日、玉城デニー知事や渡具知武豊名護市長、松川正則宜野湾市長らと会談した。就任後初めての来県で、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に関係する自治体へのあいさつを優先させた形で、新体制内閣でも移設推進の手は緩めない意思を印象付けた。

 「行動力のある人」。宜野湾市内のホテルで河野氏との面談後、渡具知名護市長や同席した地元の久辺3区長は口をそろえて期待を込めた。河野氏は会談で「日頃から理解と協力を頂いている。一番影響を受ける地元の生活を守り向上させなければならない」と受け入れ側の地元に手厚く配慮する姿勢を見せ、好印象を得た。

 河野氏に米軍の廃弾処理による騒音など基地負担を軽減するよう要望した渡具知市長は「改善に向け取り組んでもらえる期待を感じた」と語った。一方、古波蔵太辺野古区長は河野氏の人柄を評価しつつ「条件を付けて容認している立場なので、今まで要請した内容の実現に引き続き取り組む」と区の考えを強調した。

 宜野湾市議会が27日に辺野古移設促進を求める意見書を可決したばかりで、松川市長は辺野古移設に関する自身の考えや、市議会の意見書可決を河野氏に伝えた。松川市長によると、河野氏は「政府の考え方と一致している」と述べたという。会談後、市幹部は「宜野湾市にとっては河野氏とこれまでのつながりもあり、予算要請などもやりやすいだろう」と期待した。

 玉城知事との会談も防衛相就任を祝う恒例の花束贈呈などで和やかな雰囲気で始まったが、辺野古新基地建設に話が及ぶと両者とも表情をこわばらせた。過去2回の知事選や2月に実施された県民投票の結果を根拠に新基地建設の断念を求める玉城知事に対し、河野氏は「日米同盟の抑止力を維持しながら普天間飛行場を返還するための方策」として譲らず、両者の主張は平行線に終わった。

 会談後、県幹部の一人は「河野氏は外相を務めてきたので沖縄の状況はよく理解しているだろう」と受け止める一方、「県として求めていく内容に変わりはない」と語った。玉城県政は防衛相を務める人が変わろうとも「申し上げるべきことは申し上げ、問題点を指摘し」(玉城知事)辺野古断念を求めていく構えだ。
 (明真南斗、金良孝矢)