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ペットボトルふた アクセサリーに 運賃高騰で転換 資源循環と就労支援両立 沖縄クリーン工業、縁人が連携


ペットボトルふた アクセサリーに 運賃高騰で転換 資源循環と就労支援両立 沖縄クリーン工業、縁人が連携 ペットボトルのキャップを細かく砕いたチップと、製作されたアクセサリー類
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 実は持続可能ではないリサイクル活動を転換しようと、沖縄クリーン工業(前田裕樹社長)は、ペットボトルのキャップを素材にしたアクセサリーを製作・販売する就労継続支援A型事業所・縁人(えんじん)(うるま市)との連携を始めた。連携によって資源循環と多様な人たちの社会参加を両立させる。

 可燃ごみに分別されることが多いペットボトルキャップの収集は、参加しやすいリサイクル活動として人気がある。沖縄クリーン工業は集めたキャップを預かり、資源として売却して、海外にワクチン代として贈る活動に参加してきた。

 キャップは細かく砕いてかさを減らし、20トンほどたまるまで待って県外に運ぶ。運賃は1キロ20円ほど。廃プラスチックの買い取り価格は、活動が始まった2016年は1キロ45円だったが現在は2円まで下落。運賃も回収できず受け入れをやめる事業所もある中で、前田社長は「集めた人の気持ちを大切にしたい」と継続してきた。

 同社はOKINAWA SDGsプロジェクト(OSP)の修学旅行事業に参画し、中高生が沖縄で社会課題解決を考える体験プログラムを提供している。この問題を考える中、「県外に出すから運賃がかかる。県内でできることはないか」と発想を転換。材料として生かそうと模索し、縁人と縁がつながった。

 縁人は、障がいのある利用者の仕事をつくろうとキャップからピアスやキーホルダーを製作している。包装や値付け、在庫管理のシステム運用と多様な業務があり、各人の得手不得手で分業が可能だ。

製作現場を視察する沖縄クリーン工業の前田社長(右から3人目)ら=うるま市の就労継続支援A型事業所「縁人」
製作現場を視察する沖縄クリーン工業の前田社長(右から3人目)ら=うるま市の就労継続支援A型事業所「縁人」

 大きな課題は、けんしょう炎になる人も出たというキャップをペンチで刻む作業と販路。そこで沖縄クリーン工業が機械で破砕して提供し、同社のつながりで販路も模索することに。前田社長は「分業と協力で全量を県内でアップサイクルできるよう協働の輪を広げたい」と意気込む。

 縁人でピアスの飾り付けをしていた山根彩夏さん(24)は「デザインを考えて作るのは楽しいし、売れればもっとうれしい」。管理者の高瀬兼治さんは「連携を広げることで一人一人に合った仕事で社会参加できる」と意義を語った。

 (黒田華)