沖縄県が18日までにまとめた「男性の家事・育児参画及び育休に関するアンケート調査結果概要」では、家庭内で担う家事や育児の選択肢19項目中、男性の割合が上回ったのは「ゴミ捨て」や「子どもを風呂に入れる」の2項目にとどまった。食事の準備や掃除、子どもの夜泣き対応など時間がかかる役割を女性が担う傾向がある。監修した有識者は、男性の関わりを広げることで女性の負担軽減につながると指摘した。
家事や育児の担当別回答の割合で、女性が男性を上回ったものは「食事の準備」が39.5ポイントと最も差が大きく、続いて「子どもが急病になったときの対応」29.1ポイント、「幼稚園、保育園などに迎える」28.9ポイント、「部屋の掃除」28.0ポイント、「寝かしつけ、夜泣きの対応」25.7ポイントなどだった。
男性が女性を上回ったのは「ゴミ捨て」20.1ポイント、「子どもを風呂に入れる」4.3ポイントだった。
家事の多くを女性が担う割合が多いことから、育休に関する女性の自由記述では「子どもだけでなく、夫の面倒まで見ることになってしまう場合は育休取得を勧められない」との回答もあった。頻繁に泣く乳児の世話で「水も飲めずトイレも行けない」状況にあり「家事まで期待しないでほしい」との訴えもあった。
ジェンダー平等の視点で監修した、うなぁ沖縄の玉城直美氏は「男性だけでなく、抱えすぎる女性にも性別による家事分担の思い込みがあるかもしれないので考えを見直す必要がある」と述べた。調査では家事の多さで育児に専念できないとの声や、仕事と家事・育児の「ダブルワーク」のつらさ、年中行事への協力など女性の負担の多さもうかがえたという。
玉城氏は「育休の理解促進を目的とした調査だが、育休を機に家事や育児は考えるのではなく、普段から話し合うようにしてほしい」と強調した。
(嘉陽拓也)
◆育休に関する男性の意見
家庭において
・子どもの日々の成長を見られたのはとても良かった。(20代)
・仕事も気になるが、完全に子育てに集中できた。仕方がないが睡眠不足は否めない。(30代)
・育休取得で精神的に余裕が持て、子どもの成長を心安らかに見続けられ、心から幸せを感じた。育休取得の選択は120%正解だった。(30代)
収入面
・所得が減るので精神衛生上良くなかった。(30代)
・子どもを育てる自覚を持てたが、収入は満額もらえないので両親から援助してもらった。(20代)
職場
・有言無言問わず前時代的な考え方による職場の圧力やキャリアパスへの不安。(40代)
・上の世代の上司から良く思われない。復帰時に何を言われるか怖い。(20代)
・フリーランスの育休制度がないことは問題。(40代)
男性の育休取得率が低い理由について
・職場に迷惑をかけてしまう恐怖。職場での関係を重視する人が多い。(20代)
・仕事から逃げている感じで気が引ける(20代)
・家事ができない人が多く、家にいても役に立たないため逆に母親にストレスがたまるので、働いて稼いだ方が家庭のためになるとの考え(30代)
・職場が取りにくい雰囲気だとかいって大変なものから逃げている。(30代)
・育休を取る前提で人事が組まれていない。(20代)
・仕事のブランクが発生し、昇進や昇格が遅くなる可能性を感じる。(30代)
組織内の工夫、好事例
・仕事を属人化しない。(30代)
・余裕を持った人員構成となっている。(30代)
・復帰の時に育児短時間勤務を活用し、復帰しやすい環境を作ってくれた。(40代)
・業務にメインとサブの担当を配置し、育休に限らず突発的な休みが必要な時にフォローしあえる体制。(40代)
・日頃からいつでも休める環境を構築するようにしている。(30代)