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自分なりに行事を楽しむ<伊是名夏子100センチの視界から>173


自分なりに行事を楽しむ<伊是名夏子100センチの視界から>173
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 もうすぐで端午の節句ですね。私は季節行事の度に、どうやって祝おうか悩みます。端午の節句は男の子の誕生と健やかな成長を願うと言われていますが、戦いの象徴であるかぶとをかぶった五月人形を飾るのはどうなのだろう、こどもの日と言いつつ、男の子のお祝いなので、子どもの中に女子は入っていないのかな、トランスジェンダーやXジェンダーの子どもはどうなるんだろうと、もやもや悩むからです。

 歴史を調べると、端午の節句は中国から伝わり、奈良時代には田植えをする女子の厄払いが始まりだったという説もあります。「こどもの日」として制定された1948年は、母へ感謝をする日でもあったそうです。行事の祝い方はどんどん変わっていくのですね。

 ひな祭りでも悩みます。女子の誕生と成長を願うと言われていますが、早くお嫁に行き、男の子を生み、男性中心の家柄を保つ家父長制や結婚制度を維持する願いが込められています。私は戸籍制度に反対で、事実婚をしています。結婚をしなくても幸せな生き方はあると思うので、娘にどんな思いを込めて祝おうかと悩みます。

 そこまで悩むなら行事を気にするのをやめてもいいのでは、と思うかもしれませんが、決してお祝いをしたくないわけではありません。私は子どもの頃、七段のひな人形を飾り、家族や友だちを呼んで、母が作った桜餅や手巻きずしを囲むのが楽しかったからです。食べ終わったはまぐりに和紙を貼り、ひな人形も作っていました。

 旬のものを食べるのは体にも良く、食べ物を通して季節を知り、自然が好きになります。季節の変化を感じるのは心地いいし、彩り豊かなちらしずしやかしわ餅を食べた、楽しい思い出が積み重なっていくのも大好きです。親になった今、自分がどうやって祝いたいかを考えて、子どもと話しながら、わが家流を作っていくしかないと思います。わが子たちが大人になる頃には、今とは異なった祝い方や考えが出てきているかもしれませんね。

 古いものを否定するわけではなく、自分は何を選んでいきたいのか、何を大事にしたいのか、考えていきたいです。自分が好きなことでも、時に誰かを傷つけることもあると思うので、人に押し付けないように気をつけたいです。お互いの好きなことを批判や否定せず、受け入れ、自分らしく過ごしていきたいです。


 いぜな・なつこ 1982年那覇市生まれ。コラムニスト。骨形成不全症のため車いすで生活しながら2人の子育てに奮闘中。現在は神奈川県在住。