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おせっかいな先輩ママ<伊是名夏子100センチの視界から>177


おせっかいな先輩ママ<伊是名夏子100センチの視界から>177
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 最近、私のように障害のある人の妊娠、出産、子育てが増えています。障害があっても、子どもを持つか、持たないかを選べるのが当たり前になってほしいと願いながら、私も子育てをし、本も出版したので、とても嬉しいです。

 しかし自分でも驚くほどに、出産したママたちに伝えたいことが出てくるのです。「もっと福祉制度を使えるように交渉してはどうかな? 交渉は時間がかかるから、早くから動いた方がいいよ。交渉のポイントはこうだよ」「車いすで子育てするにはこのグッズが便利で、ネットで買えるよ。1歳過ぎてからが、もっと大変だよ」「そんな細かいことを気にしなくても大丈夫だよ。子どもが1人だからまだいいけど、2人だったらもっともっと大変だよ」などなど。障害のない人に対しては何も思わないのに、障害のある人に対しては過剰に心配して、口出ししそうになるのです。

 自分と相手を重ねて、私は大変なことがたくさんあったので、そうはなってほしくない、そしてアドバイスをすることで自分の経験を認めてほしいという気持ちがあるのかもしれません。求められてもいないのにアドバイスをすることは、時にクソバイス、おせっかいになってしまいます。また自分の経験を一方的に相手に聞かせ続けるのは、ハラスメントにも近いことです。

 当時の私を思い出すと、私の妊娠、出産、子育てを過剰に心配したり、時には否定的な意見を言ったりしたのは、子育て経験者でした。一方で、学生や独身の友だちは「おめでとう! すごいね」と応援してくれた人ばかりでした。

 子育てに悩んでいた私が、最もよかった子育て経験者からのアドバイスは、まず「あなたはどうしたいの?」と私の気持ちを聞いてくれ、新しい視点をくれた人でした。だから私もそんな人になりたいです。

 困っている人を見かけると、自分の過去の苦労を思い出し、何かしてあげたいと心がわさわさします。しかし目の前にいる人は、あの時の私とは、状況も性格も違います。何よりも大切なことは、その人がどんなによくやっているかを認め、相手のペースに合わせながら、必要とされた時にだけ一緒に動くことでしょう。過去の自分に引きずられることなく、相手を尊重しながら、新米ママをサポートできたらと思っています。


 いぜな・なつこ 1982年那覇市生まれ。コラムニスト。骨形成不全症のため車いすで生活しながら2人の子育てに奮闘中。現在は神奈川県在住。