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障害のある女性たちと国連ロビー活動へ<伊是名夏子100センチの視界から>184


障害のある女性たちと国連ロビー活動へ<伊是名夏子100センチの視界から>184
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 この半年間、NHK連続テレビ小説「虎に翼」に釘付けでした。悩みながらも、自分を曲げることなく「はて?」を言葉にして、女性に門戸が開かれていなかった法曹界を切り開いていく寅子たち。彼女の賢さや面白さだけでなく、ドラマの登場人物、一人ひとりが魅力的でした。5人の女性が大学で学ぶ姿に私もワクワクし、時にはぶつかり合いながらも、社会を変えるために力を合わせていく彼女たちの連帯に涙しました。車いすユーザーの女性が出てきたのも、とてもうれしかったです。

 戦後、日本国憲法ができ、すべての国民が個人として尊重され、平等になったと明記されましたが、ドラマの女性たちが感じた苦しみや悲しみは、今もなお変わらない部分がたくさんあります。

 またドラマを見ながら感じていたのは、いま障害のある人が置かれている状況は、寅子たちと似ているということです。なぜなら、いまだに法曹界にも、医療現場にも、学校現場にも、ありとあらゆるところで、障害のある人が働く姿はほとんど見かけないからです。障害のある子が地域の学校に通うこともありますが、数はクラスに1人か2人だけ。大学進学率も低いです。寅子は女性の仲間たちに囲まれていましたが、障害のある子が置かれている環境は、いまだにより孤独かもしれません。

 障害がある「女性」となると、より状況は深刻です。2008年の「障害者生活実態調査」によると「仕事あり」と回答した人は、一般男性の約9割、一般女性の6割強、障害男性の4割強、障害女性の3割弱でした。女性の障害者の多くは、仕事ができず、経済的にも苦しく、家族に頼って過ごさざるを得なく、DVなどが起きても解決されにくいです。

 また私もですが、ケア労働を求められがちな結婚、妊娠、出産を反対される女性障害者は多いです。日ごろ接する人からの性加害も多く、生活圏が限られているので訴えづらく、まわりからは信じてもらえず、相談窓口もほとんどありません。

 この現状を変えるため、今月、4人の障害のある女性たちと、国連の女性差別撤廃条約の日本審査に出向き、ロビー活動をします。介助費を含めた渡航費のカンパを募っています。詳しくは「DPI女性障害者ネットワーク」のサイトをご覧ください。すべての女性の幸せのため、現状を委員に訴え、日本の法律や制度を変えていきたいです。


 いぜな・なつこ 1982年那覇市生まれ。コラムニスト。骨形成不全症のため車いすで生活しながら2人の子育てに奮闘中。現在は神奈川県在住。