prime

女性の人材育成 今こそチャレンジを 富原加奈子(県経営協女性リーダー顧問)<女性たち発・うちなー語らな>


女性の人材育成 今こそチャレンジを 富原加奈子(県経営協女性リーダー顧問)<女性たち発・うちなー語らな>
この記事を書いた人 Avatar photo 外部執筆者

 いきなりですがクイズに挑戦してみていただけますか。

 「父親とその息子が交通事故で病院に運ばれた。病院の先生が運ばれた息子を見てこう言った。『この子は私の息子です』。それはなぜ?」

 これは十数年前に職場の先輩から出されたクイズである。聞くところによると、多くの人に聞いたが正解はわずか2人だったとか。私も最近同じクイズを周りの人やセミナーで出してみたが、正解は以前より少し増えたかなという程度だ。

 クイズの答えは「母親が医者」だ。医者というと男性をイメージするアンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)の体験版のようなクイズで、警察署長や政治家バージョンもあるようだ。思い込みもさることながら、割合においては日本の実態であり、昨今注目のジェンダーギャップ指数で、日本が146カ国中、125位だというゆえんだろうか。

 先ごろ発表された政府の女性版骨太方針2023で、2030年までにプライム市場上場企業の女性役員比率30%以上を目指すという方針が示された。日本の現状ではとてもハードルの高い目標だ。しかし、国民の平均的な豊かさを示す1人当たりのGDPで比較すると、ジェンダーギャップ指数1位のアイスランドや2位のノルウェーが、日本の2~3倍であるという現実は衝撃的だ。

 人口がさらに減少する中、生産性を上げ、経済を成長させていくためにも、あらゆる組織の経営レベルに多様な価値観や考え方を取り入れ、大きく変化させることが喫緊の課題とされている。近い年齢層、近い学歴、近いキャリアの男性が並び、限りなく近い考え方の中で意思決定がなされる、同質性の高い日本の組織に、今、警鐘が鳴らされている。

 「適材適所」と言われるが、それは男女問わず言えることで、自分にとっての適所(可能性)は思わぬところにあることは多い。

 以前、ある会でスピーチをさせていただいた時、最後の質疑応答のコーナーで「女性を育成する中で一番困るタイプの男性は?」という質問を受けた。その時、私は「優しい人」とお答えした。

 女性には大変だからと、仕事の分野を限定したり、任せてもらえず部分的なサポート役にとどめたりすれば、キャリアを積む機会も持てないし、失敗もなければ、自信につながる成功体験もできない。

 女性からはよくロールモデルが欲しいという話がある。しかし実際にはそれぞれ環境が違うので、自分の理想とするロールモデルに自分がなるしかないのだ。組織も個人もチャレンジの時、時代の変化が背中を押してくれている。