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「治療方針が立てられない」琉大病院のがん画像「PET」検査予約できず、医療現場から悲鳴


「治療方針が立てられない」琉大病院のがん画像「PET」検査予約できず、医療現場から悲鳴 琉球大学病院
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 琉球大学病院(西原町)のPET/CT検査の10月以降の予約ができない状況であることが判明した。県内唯一の特定機能病院として地域医療の中核を担う医療機関で起きた異変。医療現場からは「治療方針が立てられない」「病院側から明確な説明がない」などの訴えが相次いでおり、混乱が広がっている。

 「がん治療には欠かせない検査。検査ができない状態が続くと地域医療にはダメージが大きい」

琉大病院のPET/CT施設を利用している、本島中部のがん専門の勤務医は9月、本紙取材に戸惑いを口にした。

 がん治療では、X線で人体の断層画像を撮影するCTや、磁石と電波を用いて人体に含まれる水素原子を画像化するMRIなどの検査手法も用いられている。しかし、がん細胞の活動状況が画像で確認できるPET/CT検査は、「より信頼性・有用性が高い」(前出の医師)とされる。

 医師によると、8月末ごろから予約が取れなくなっているものの、病院側からの事情説明はこれまでにないという。那覇市内の病院の看護師長も「それまでは通常通り稼働していたが、9月に入ってから予約できなくなった」と話す。

 本島南部地域では琉球大学以外に豊見城市の病院で検査できるが、「南部地区で1カ所だけでの対応はかなり厳しい。時間もかかる大きな検査なので早く正常化してほしい」と逼迫(ひっぱく)した状況を明かした。