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首里劇場 心に焼き付け 最後の内覧会に1100人来場


社会
首里劇場 心に焼き付け 最後の内覧会に1100人来場 16日から解体される首里劇場の最後の内覧会に訪れた人たち=7日、那覇市首里大中町
この記事を書いた人 Avatar photo 田吹 遥子

 沖縄県内で現存する最古の映画館で、最後の木造劇場である首里劇場(那覇市首里大中町)の解体工事が16日から始まることを受け、内覧会が7日開かれた。開始前から列ができ、1169人が来場した。思い出を振り返ったり、写真に収めたりと、劇場の最後を思い思いの形で目に焼き付けていた。

 スクリーンを眺めていた新垣佳世子さん(74)は首里大中町が地元だ。「全ての楽しみはここだった」と振り返る。「劇場は暑いから、うちわを持って映画を見に行った。なくなるのは寂しいの一言」と語った。西原町の佐久田朝清さん(84)は解体を知り、70年ぶりに訪れた。「小学生の時に映画見学で坂田から歩いてきた」。劇場内を細かに覚えてはいないと言うが、久しぶりの劇場に「夢みたい」とつぶやいた。

 木造の柱に目をやっていたのは松茂良惟孝(のぶたか)さん(80)。祖父が劇場の建設に携わった。「米軍払い下げの電柱を首里劇場の建設に使ったと聞いた。どう造ったか聞いておけばよかった」と話した。

 記念撮影をしていた伊波陽香留さん(19)は、県立芸大で琉球古典音楽を学んでいる。「昔の芝居小屋が残っているのはここだけ。ここで演奏したかった」と残念がった。首里劇場調査団の平良斗星団長は「壊す前に“弔い”ができてよかった」と話した。

 (田吹遥子)