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20年前の挑戦 今日が未来をもたらす 新垣道子(グラアティア共同代表)<女性たち発・うちなー語らな>


20年前の挑戦 今日が未来をもたらす 新垣道子(グラアティア共同代表)<女性たち発・うちなー語らな> 新垣道子(グラアティア共同代表)
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 今年もあと残すところ2カ月となった。2023年を振り返って最も印象深いことの一つ。それは約20年前、アメリカの大学院経営学(MBA)コースで肩を並べた旧友たちとのReunion、同窓会だ。海外のあちらこちらからの仲間が集まった。

 幼い頃から外の世界に興味を持っていた私は、大好きな故郷沖縄を拠点に、海外とつながる仕事ができないか、と漠然と思っていた。ところが、どういう職に就けば海外とつながれるのか想像がつかない。今となっては信じられないだろうが、当時はインターネットが普及したばかり。情報が容易に得られる時代ではない。SNSももちろんない。何とかたぐり寄せた情報で、海外大学院をきっかけに世界とつながれないか、と考えた。

 地元の大学を卒業し、地元の金融機関に就職し、夜には、アメリカの大学院を受験するための勉強を開始した。そして留学資金をためた。大学院行きが実現したのは28歳。「そんな年頃の娘の海外留学をよく許すわね」と両親は周りの人に言われていたらしい。

 大学院には、アメリカ人のみならず、世界各国からの学生が在籍していた。将来に向けて大きな夢を抱く学生たちだ。授業はディスカッション中心の講義で、授業が終わるとクラスメートとのプロジェクトに取り組み、夜は次の授業に向けて分厚いテキストを読み込む。

 試験では一定以上の成績を収めなければ、退学を余儀なくされる。テスト前日も、皆の前で行うプレゼンテーションの前日も、怖くて眠れなかった。24時間開いている図書館に入り浸り勉強した。そんな日々から、20年がたったのだ。

 当時の私たちのそれぞれが、そして、私が、20年後、卒業生として、いったい、どんな人生を送っているのか。その結果の一つが、この同窓会に参加する今日の自分だ。

 20年前の挑戦と経験のおかげで、私の人生は、より豊かなものになった。何ものにも代えがたい最強の人的ネットワークという財産も得た。外に出なければ、決して出会うことのなかった各国からの旧友たちと、ビジネスやプライベートでも関わり、今、こうして、同じ時間を過ごしている。どこにでも出ていける自信もついた。未来の自分の姿は、今日という日の使い方を、どう選択したのかで決まる。結局はその積み重ねでしかないのだ。

 さて、さらに良い10年後、20年後を迎えるに当たり、今日、そして今年残り2カ月をどう過ごすのか。振り返るのにも良いタイミングだ。なりたい、ありたい自分の未来を想像して、そこから逆算し、行動し、さらなる挑戦をし続けたい。

グラアティア共同代表
新垣道子

 あらかき・みちこ 1971年、那覇市出身。東京で企業とシェフをつなぐシェフサービス運営のグラアティア共同代表。企業向けイベントマネジメント事業を行う。経済産業省始動プログラムシリコンバレー派遣メンバーに選抜。起業前は、琉球銀行、IBM、アマゾンジャパンでグローバル新規業務・サービス導入の統括管理責任者。