フィリピン残留邦人2世が来沖へ カナシロさん、アカヒチさん親族探し 父が沖縄出身、支援団体が情報提供呼び掛け


フィリピン残留邦人2世が来沖へ カナシロさん、アカヒチさん親族探し 父が沖縄出身、支援団体が情報提供呼び掛け 親族探しのため来沖するフィリピン残留邦人2世の情報提供を呼び掛けるフィリピン日系人リーガルサポートセンター代表理事の猪俣典弘さん=26日、那覇市の県政記者クラブ
この記事を書いた人 琉球新報社

 戦争で日本人の親と生き別れになりフィリピンに残留した日本人2世で、父親が沖縄出身の2人が県内の親族を探している。ダバオ在住のカナシロ・ロサさん(80)とパラワン州在住のアカヒチ・サムエルさん(81)だ。2人に父親の記憶はないが、高齢となった今、「父の故郷で親族に会って話を聞いてみたい」と話し、12月に来沖する予定だ。沖縄訪問を心待ちにしている。

カナシロ・ロサさん(PNLSC提供)
アカヒチ・サムエルさん(PNLSC提供)

 カナシロさんは、父から「マサコ」という日本名を付けられていた。地元の教会の洗礼記録に父「Koshie(コシエ)」の名が記載されており「コシ」や「コウセイ」などの可能性もある。父親はダバオ市内のオオサカバザールで理容師として働いていたという。コシエさんは日本軍に徴兵されたが、戦死したか捕虜として日本に強制送還されたかは分かっていない。

 アカヒチさんは、4歳の時に母親から父の名を「アカヒチ カメタロウ」と聞かされた。日本軍による捕虜虐殺事件が起きたパラワン島では反日感情が強く、カメタロウさんは抗日ゲリラに殺害された。アカヒチはうるま市与那城に多い名字「赤比地」と推測されるが、沖縄戦による戸籍滅失や戦後に改姓が進んだことによりカメタロウさんは見つかっていない。

 国籍回復を支援するNPO法人フィリピン日系人リーガルサポートセンター(東京都)の猪俣典弘代表理事によると、2人を含め残留日本人2世は無国籍状態で、生存者は151人まで減少した。日本国籍の回復には父親が日本人と証明するために出生記録や、手紙など家族との通信記録が必要となる。猪俣さんは26日に那覇市内で記者会見し「どんな手がかりでも良いので情報を寄せてほしい」と呼びかけた。

 情報提供は同センター、電話03(6709)8151。 (慶田城七瀬)