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<沖縄ヘイトにあらがう1>差別による支配と決別を 知念ウシさん(むぬかちゃー)


<沖縄ヘイトにあらがう1>差別による支配と決別を 知念ウシさん(むぬかちゃー) 知念ウシさん(むぬかちゃー)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 本シンポジウムで私は琉球、琉球人という世界(史)の中のアイデンティティーやポジショナリティー(歴史的権力的位置性)、植民地支配(軍事、経済、観光、文化、癒やしなど)、他の被植民者との連帯、琉球人だけのスペースの必要性などについて話したい。

 1879年、松田道之「琉球処分官」は、武力による威嚇で琉球を征服し、抵抗する貴族たちを脅かした。「このまま態度を改めないなら、新しい沖縄県には採用せず、すべて内地人が占め、土人は一人も働けなくなり、社会から軽蔑され、アメリカの土人、北海道のアイヌのようになるぞ(知念意訳)」。併合当時から、琉球のエリートたちは他の被植民者と比べられ「そちら側になるのか、服従してこちら側になるのか」を迫られてきた。

 これは人類館事件や沖縄戦、日本復帰運動にも引き継がれ、現在の差別への対応にもある。それは琉球人の日本人同化を促進した。しかし言葉を失っても文化を失っても、差別はなくならない。もう、こんな「生存戦略」はやめるべきだ。

 琉球人が「一緒にされたくない」としてきた、ネイティブアメリカン、アイヌ、朝鮮人、台湾先住民、さらに世界中の被植民者は差別や抑圧、迫害を直視して立ち向かい、解放の地平を開いてきた。その闘争の歴史、思想、実践が、今私たちを助けてくれている。私たちも自らが置かれている位置を認識し、立ち上がろう。「沖縄の人は優しくていい人」プロパガンダに自分を見失わないで。厳しく勇敢な琉球人もたくさんいる。シンポジウムにメンソーレー。ウマジュン、差別に支配されないように、チム(心)とチブル(知性)をもっと鍛えよう!

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 琉球新報は10日午後6時から那覇市泉崎の琉球新報ホールで創刊130年記念事業の一環として池宮城秀意記念フォーラム「沖縄ヘイトにあらがう―私たちに何ができるか」を開く。開催に先立ち、登壇者に思いを書いてもらった。入場無料(整理券が必要だが、QRコードからも聴講申し込み可能)。問い合わせ先は琉球新報編集局暮らし報道グループ、電話098(865)5158。