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<沖縄ヘイトにあらがう3>多数派が救済対象選別 仲村涼子さん(ニライ・カナイぬ会共同代表)


<沖縄ヘイトにあらがう3>多数派が救済対象選別 仲村涼子さん(ニライ・カナイぬ会共同代表)
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 「ヘイトスピーチ」とは「憎悪をあおる表現」のみを意味するのだろうか。ある属性の存在を否定する、軽視する言動も立派な「ヘイトスピーチ」ではないだろうか。私は琉球の先住民族だ。1879年にヤマトに植民地支配され日本の一部にされた、琉球にルーツを持つ琉球民族だ。「日本」は押し付けられた国籍であり、私の「祖国」ではない。私は日本人でも日本民族でもない。

 しかし、日本では「アイヌ以外の先住民族はいない」という認識がまかり通っている。私自身も「琉球民族」「先住民族」を主張したときに、市民運動の場で日本人から「琉球って何? 沖縄でしょ?」「政府は“沖縄の人”を先住民族と認めていない」と、存在やアイデンティティーを否定されたことがある。「反差別」をうたうリベラルですら、平気でこのような差別を行うのである。

 国連広報センターのHPでは「ヘイトスピーチ」を「宗教、民族、国籍、人種、肌の色、血統、ジェンダー、または他のアイデンティティーを基に、それらを攻撃、または軽蔑的もしくは差別的な言葉を使用する発話、文章、行動上のあらゆる種類のコミュニケーション」と定義づけている。

 リベラルを含め、現在の日本人の人権意識は国際基準から著しく遅れてはいないだろうか。マジョリティー側がヘイトから救済する対象を選別し、序列をつけてはいないだろうか。琉球先住民族の立場から、沖縄県の人権条例や市民運動、メディア報道の問題点を提起したい。


 琉球新報は11月10日午後6時から那覇市泉崎の琉球新報ホールで創刊130年記念事業の一環として池宮城秀意記念フォーラム「沖縄ヘイトにあらがう―私たちに何ができるか」を開く。入場無料(整理券が必要)。問い合わせ先は琉球新報編集局暮らし報道グループ、電話098(865)5158。