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<沖縄ヘイトにあらがう4>政治劣化故に大量生産 斉加尚代さん(毎日放送ディレクター)


<沖縄ヘイトにあらがう4>政治劣化故に大量生産 斉加尚代さん(毎日放送ディレクター) 斉加尚代さん(毎日放送ディレクター)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 沖縄ヘイトは大阪からあふれ出た。だからこそ、大阪に拠点を置くテレビディレクターの私が取材する責務がそこにある。「沖縄の二つの新聞社を潰さなあかん」と暴言を吐いた作家は大阪出身。市民に向けて「このボケ、土人が…」と言い放ったのは大阪府警機動隊員だ。沖縄出身者が多く暮らす大阪なのに悲しすぎる。沖縄県民をひどく傷つける毒矢のような言葉を流通させるのは、なぜなのか。

 ヘイトやデマを拡散させる人物を取材してきた。「言うなれば、僕のたわ言」と基地反対の座り込みをする住民をおとしめて開き直る医療従事者や、フェイクを人気取りに利用する起業家、特定の政治勢力を持ち上げて金を稼ぐ編集者など。いずれも共通するのは、薄っぺらな言葉しか持たず、「敵」か「味方」か、そんな分断思考に陥ってしまう稚拙さだ。

 そして、最も深刻なのは、それらのヘイトは本土の劣化した政治の産物であり、ゆえに大量生産されていることだ。地上波テレビも加担する。「反日」「売国奴」、でたらめな決めつけの背後には、過去の歴史を知ろうとせず、軍備増強に突き進む日本政府に忖度してやまない著名人や人々がいる。彼らにどう向き合ったらよいのか。その答えを探ってゆく一歩は、メディアと教育の在り方を考えることだ。「沖縄のジャーナリズム取材」は私の原点である。琉球新報創刊130年のフォーラムで発言できることを光栄に感じると同時に身震いしている。


 琉球新報は11月10日午後6時から那覇市泉崎の琉球新報ホールで創刊130年記念事業の一環として池宮城秀意記念フォーラム「沖縄ヘイトにあらがう―私たちに何ができるか」を開く。入場無料(整理券が必要)。問い合わせ先は琉球新報編集局暮らし報道グループ、電話098(865)5158。