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沖縄での闘争「笑うな」 教育やメディアの責任も 白熱3時間「沖縄ヘイトにあらがう」フォーラム 那覇


沖縄での闘争「笑うな」 教育やメディアの責任も 白熱3時間「沖縄ヘイトにあらがう」フォーラム 那覇 登壇者に拍手を送る来場者ら=10日、那覇市泉崎の琉球新報ホール(大城直也撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

「沖縄だけでは止めることはできない。問われているのは私たち」。10日に那覇市泉崎の琉球新報ホールで行われたフォーラム「沖縄ヘイトにあらがう」は、東京出身の辛淑玉さんのそんな基調講演から始まった。この提起をきっかけに、パネルディスカッションでは来場者から寄せられた質問も交えながら、3時間近い白熱した議論になった。 

 ノンフィクションライターの安田浩一さんは「『沖縄問題』と言われるが、全て日本が強いた問題だ」と指摘。差別と笑いがセットになっていることを問題視し「沖縄で繰り返されている闘争を笑うな。『笑うな』ということにヒントがある」と語った。
 大阪から参加した毎日放送ディレクターの斉加尚代さんも、「権力を笑い飛ばすものから弱い人を笑うものに質が変わった。メディアの責任も避けて通れない」と応じた。

 県はヘイトスピーチの解消を図る「県差別のない社会づくり条例」を制定した。市民団体「ニライ・カナイぬ会」共同代表の仲村涼子さんは、条例の対象に「民族」への差別が含まれなかったことを指摘。「琉球民族は誰が守ってくれるのか。国が認めていないからと差別を放置・容認するのか」と改善を訴えた。

 議論は教育のあり方にも及んだ。むぬかちゃーの知念ウシさんは「若者をつぶすのがヘイトだ。抵抗しても無駄だという大きな圧力を感じて無関心を装う。大人たちが差別や基地問題から守っているというのがある。大人が生き方をどう見せられるか、模索中だ」と呼びかけると会場から拍手が起こった。

 フォーラムに参加した女性=福祉関係=は「差別の構造を覆い隠すためにヘイトがあるという言葉に納得した。自分の中でもやもやしていたことが腑(ふ)に落ちた」と語った。
 友人の勧めで参加した男性(53)=小学校教諭=は「誰かをけなすことで幸福を得ようとする発想を、なくしていかなければならない。皆がそれぞれの立場で考えていければ」と語った。
 (渡真利優人、南彰)