基地や戦争に反対する市民でつくる「沖縄・琉球弧の声を届ける会」は12日、連続講座第1回「メディアは全ての人権のため、隠された真実を暴け! 『新たな戦前』に直面する沖縄・琉球弧の島々の真実を!」を那覇市国場の沖縄大学で開催した。
議員や記者、研究者として活動する6人が講師を務め、沖縄を中心とした軍事に絡む諸問題について講演した。
第1部では「沖縄・琉球弧の声」として田里千代基氏(与那国町議)、長野広美氏(鹿児島県西之表市議)、宮城秋乃氏(チョウ類研究者)が登壇した。
田里氏は与那国島で進む自衛隊配備が対中抑止のための軍事要塞(ようさい)化となっていると批判した。その上で「交流と繁栄こそが最大の安全保障」と述べ、地域外交の機運醸成をメディアに求めた。
長野氏は馬毛島での自衛隊基地建設が十分に議論されなかったとし「基地経済を一方的に押しつけている」と批判した。
宮城氏は北部訓練場に残る軍事廃棄物が処理されることなく、本島北部を世界自然遺産として登録を推進したことを批判した。
第2部の「メディアの声」では阿部岳氏(沖縄タイムス編集委員)、新垣毅氏(琉球新報統合編集局次長)、セドリック・アルヴィアーニ氏(国境なき記者団アジア太平洋支局長)が登壇した。
阿部氏は沖縄で進む報道規制について説明。自身の取材経験を通して「都合が悪くなると記者を真っ先に排除する姿勢が見える」と語った。
新垣氏は沖縄の基地負担が有事を意識したものであるとし「政府の国民保護計画は国民が置き去りにされている」と批判した。アルヴィアーニ氏は自身の所属団体が公表している「世界報道自由度ランキング」に触れた。「日本では政治的圧力や男女間の不平等、記者クラブ制度、自己規制がジャーナリズムの役割をあいまいにしている」と懸念した。(渡真利優人)
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