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チョコ作りから見えた世界 カカオ生産国の現実学ぶ 那覇で催し 「公正な貿易、考えて」


チョコ作りから見えた世界 カカオ生産国の現実学ぶ 那覇で催し 「公正な貿易、考えて」 カカオ豆の皮をむき、すり鉢ですりつぶす参加者ら=11日、那覇市のブラジリアンフードカフェPungaPonga
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 バレンタインデーを前にチョコレートをカカオ豆から手作りし、カカオ生産国など世界の現実を考える催しが11日、那覇市内で開かれた。チョコレートは安価で出回るが製造には手間がかかる。カカオ豆は児童労働で生産されたものもある。参加者は「知らないことがいっぱい」と話しながら、出来上がったチョコレートを大切に味わった。

 主催したのはフェアトレード商品を販売する沖縄リサイクル運動市民の会(那覇市)。コーヒーやチョコレートなど安価で販売されている商品は、その安さを生み出すために途上国の生産者に適切な対価を支払わなかったり、現地の環境を破壊していたりすることがある。フェアトレードは「公正・公平な貿易」を意味し、生産地の労働環境や自然環境を守ることを目指す、持続可能な貿易の仕組みだ。

 この日に使われたカカオ豆や砂糖はほぼフェアトレードのもの。市民の会の眞喜志敦さんは「エクアドル産のカカオ豆を発酵させ、140度のオーブンで120分焼いたものです」と説明し、アーモンドほどの大きさのカカオ豆20グラムを配った。

 作業は豆の皮むきから。ぱりっと剥がれるものもあれば、張り付いた皮につい力が入って豆が砕けてしまうことも。皮を剥がした豆はすり鉢に入れて、すりつぶしていく。すりこ木をひたすらごりごり回すこと約10分。すりごま状になったカカオ豆が入ったすり鉢を湯煎すると、周囲から溶け始めてどろどろに。ボウルに移し、カカオ豆の脂肪分・ココアバターや砂糖を数回に分けて加え、混ぜ続けた。味見をすると甘いチョコレートだが、脂肪分の固まりで舌触りはざらざらだ。「なめらかにするには72時間、混ぜ続けます」との説明に「今まで何のありがたみも感じずに食べていた」と家族で参加した赤嶺あやねさんは驚いた。

 作業に時間がかかるため参加者が豆から手がけたのは全体量の1割ほど。市民の会が事前に準備したものを足して工程を短縮した。5歳の息子と参加した石川かりなさんは「少量でもこんなに大変。体験できてよかった」と話し、仕上がったチョコレートを味わっていた。眞喜志さんは、カカオ生産者の多くはガーナやコートジボアールで危険で過酷な農作業に従事し、学校に行けない子どもたちもたくさんいることを説明。「フェアトレードの商品なら子どもも学校に行ける。世界の現実を知り、できることを考えて」と話した。