秋晴れの強い日差しの下、那覇市の奥武山公園陸上競技場で開かれた「11・23県民平和大集会」。主催者発表で1万人以上が集まり、幅広い年代が「対話で平和を」という思いを一つにした。戦争体験者が語り、歌三線やエイサーなどそれぞれの方法で平和への思いを表現した。メッセージで魚を描く巨大アート「スイミーバイ」の制作や、「反軍拡」を示す黄色を身に着けた人も。音楽コンサートで若者へ裾野を広げる工夫もあり、初めて足を運んだ人、若い人、親子連れの姿も見られた。
キッズスペースにいた30代夫婦は音楽コンサートに出た友人に誘われたと言い、「一歩を踏み出すのは勇気がいるが、平和な未来にするために、若い世代も関わっていかないと」と柔らかな笑顔を見せた。
公園に偶然足を運んだ親子連れも。41歳の男性はロシアのウクライナ侵攻後、7歳の娘が戦争の問題に関心を持つようになり、沖縄戦を学んでいると話した。
集会が始まる20分ほど前までに続々と参加者が集まり、会場は人で埋め尽くされた。石垣島で戦争マラリアを体験し、母親を亡くした山根安行さん(93)が「戦争は地獄ですよ」と語ると、会場は静まり、来場者は真剣に耳を傾けていた。
後方にいた立津龍さん(21)=浦添市=は「同級生とこういう話はしない。彼女に誘われて初めて来た。沖縄のために集まる人たちが増えたらいい」と期待した。
自衛隊増強に懸念を抱く先島諸島やうるま市などからの報告に、那覇市内で小学校教員を務める嘉手苅陽子さん(31)は深刻な様子で聞き入っていた。「自衛隊も強化され、基地の問題も変わるかというと難しい。でも声を上げ続けることに意味がある。子どもたちのことを考えたら戦争があってほしくない」
最後に「平和外交に徹し問題解決を図るべきだ」とする集会宣言が大きな拍手で採択された。
終了後、南城市から来た運天美津子さん(74)は「若い人の参加がこれまでと違う。三線も良かった。多くの人が参加できるような集会にしていってほしい」と満足した様子だった。宜野湾市から自転車で駆け付けた63歳の男性は「今回、若い世代の人たちが頑張っていることに期待している」と話した。
(中村万里子、南彰)