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アジア7地域の学生が「台湾有事」「米軍の抑止力」など議論 沖縄県事業、35人が参加


アジア7地域の学生が「台湾有事」「米軍の抑止力」など議論 沖縄県事業、35人が参加 研修や議論を通して平和を享受することの難しさや課題、思いを共有していくことの大切さを確認した参加者ら=25日、那覇市の県市町村自治会館
この記事を書いた人 Avatar photo 謝花 史哲

 アジア諸国との相互理解や平和のためのネットワーク形成を目指す県の「平和への思い」発信・交流・継承事業で、国内外7地域の大学生によるシンポジウム「あしたのアジア」が25日、那覇市の県市町村自治会館で開かれた。参加した沖縄、長崎、広島、台湾、韓国、ベトナム、カンボジアの学生たちは議論を通し、それぞれが課題に向き合い平和への思いを共有していくことの大切さを確認した。

 同事業は今回で5回目。計35人の学生が参加し、それぞれの地域で起きた戦争などについて学ぶ事前研修を経て、19日から沖縄で現地調査や議論を行った。シンポジウムでは各チームが研修成果を発表した後、「歴史から学ぶ人間~止まらない戦争」をテーマに討論した。

 沖縄で軍備強化が進む現状に、韓国チームのイ・ギュホンさん(済州大学)からは「戦前に戻っていくようだ」という意見が上がった。一方「台湾有事」について対話した沖縄と台湾チームは、互いの平和や民主主義を保つための在沖米軍を評価する困難さに直面したと言い、台湾チームは「米軍の抑止力は必要。しかし沖縄では問題を起こしている。非常に難しい問題だ。だからこそ課題を共有していかないといけない」と語った。

 沖縄チームの保久村聖香さん(琉球大)は「どれが正解か分からない。台湾を思うと撤去はできない。だからといって基地が必要という議論はすごく危ないと思う。選択肢がないことが問題で、多くの地域、みんなと話し合って、選ぶことができる状況にすることが大切だと思う」と提案した。

 沖縄チームの1人で琉球大学2年の大城朝範さんは「意見の相違もあったが、対話すること、続けていくことの重要性を感じた。平和の意味を考え、沖縄から平和の輪を世界へ広げていきたい」と話した。

 (謝花史哲)