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ランナーも沿道も全力で! 南部路を駆け抜けた熱気 NAHAマラソン


ランナーも沿道も全力で! 南部路を駆け抜けた熱気 NAHAマラソン 沿道から応援する人とハイタッチを交わすランナー=3日、糸満市の平和祈念公園(吉田健一撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 時折雲間から太陽がのぞく絶好のマラソン日和となった3日、第37回NAHAマラソンに出場した約1万9千人のランナーは、途切れることのない沿道の声援を背に本島南部を駆け抜けた。

 連続出場記録を伸ばすランナーやフルマラソン300回目というメモリアル完走を果たしたつわもの、病気の家族のためにと、制限時間ぎりぎりでゴールしたランナーなど、今大会もさまざまなドラマがあった。出場したランナーの一人一人が全力を尽くし、充実した表情を浮かべた。


 午前9時、万国津梁の鐘が鳴ると、スタート地点の明治橋交差点を埋め尽くしたランナーたちが一斉に走りだした。明治橋から近い国際通りでは地域住民のほか観光客も足を止め、ランナーに声援を送った。第1回大会から沿道でパーランクーをたたきながら応援しているという、比嘉みどりさん(55)は「NAHAマラソンがないと一年が終わらない。立ちすぎて足がしびれてしまった」と応援に全力を尽くした様子だった。

 スタートから5キロ地点の真玉橋交差点では、豊見城ニュータウン青年会の「夢現太鼓」が迫力ある演舞でランナーを鼓舞。レース序盤ということもありランナーの多くは余裕の表情を見せ、沿道の声援に応えた。団長の幸本和弥さん(35)は「われわれもランナーから元気をもらっている」と語った。

 17キロ地点の八重瀬町具志頭交差点では、時折歩きながら道路を駆けるランナーの姿が多く見られた。近くのバス停前では、新城小バスケ部とバレー部が給水ボランティアとして元気よくランナーに声をかけ、飲み物を手渡した。6年生の上地晴さん(12)は「いろいろな格好をして面白い人もいれば、一生懸命走っている人もいた。自分も頑張ろうと思った」と元気をもらった様子。

 中間地点の糸満市の平和祈念公園では午後0時15分に制限時間となり、知念高校野球部員がコースを封鎖した。タッチの差で「人間の鎖」に阻まれた、初出場の福原兼寿さん(23)は「超悔しい。きょう頑張るために明日休みを取ったのに」と悔し涙。それでも「沿道の応援に感謝しかない。また挑戦したい」と雪辱を誓った。野球部主将の稲福広大さん(16)は「ランナーの魂がぶつかっている感じがして怖かったが、なんとかやりきった」と大役を果たしほっとした表情を見せた。

 レース終盤の名嘉地交差点近くでは、我那覇少年野球の児童が疲れを見せるランナーに冷却スプレーを吹きかけるなどして、パワーを注入した。比嘉岳斗さん(11)と上里環さん(11)は「全員完走してほしい」と力を込めた。
 ランナーたちはゴールがある奥武山陸上競技場に入ると最後の力を振り絞った。初のNAHAマラソン出場ながら完走を果たした三界博忠さん(31)は、へとへとになりながらも「沿道の応援が力になった」とやりきった表情をのぞかせた。  

(吉田健一、渡真利優人、上江洲仁美)