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「県民のチムグクル触れた」「未来のため声上げ続ける」 各界の4人がこの1年を振り返る <コロナ禍から復活の2023年>下


「県民のチムグクル触れた」「未来のため声上げ続ける」 各界の4人がこの1年を振り返る <コロナ禍から復活の2023年>下
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 2023年はFIBAバスケットボールワールドカップ(W杯)の沖縄開催や4年ぶりの沖縄全島エイサーまつりなど、コロナ禍の収束で日常に彩りが戻った。一方、環境や沖縄の未来について考える機会も多かった。沖縄バスケットボール情報誌「アウトナンバー」GMの金谷康平さん、沖縄アクターズスクールの牧野アンナ取締役COO兼エグゼクティブプロデューサー、沖縄ハワイ協会の大山盛嗣事務局長、「宜野湾ちゅら水会」代表の町田直美さんの4人に、この1年を振り返ってもらった。

 (渡真利優人、田中芳、小波津智也、慶田城七瀬)

大山盛嗣さん 沖縄ハワイ協会事務局長

 米ハワイと沖縄との友好を図る沖縄ハワイ協会の事務局長を務めている。今年はマウイ島で大きな被害をもたらした山火事を受け、復興支援「ちむぐくるプロジェクト」に取り組み、文字通り多くの県民のチムグクルに触れた1年だった。

 8月に山火事が発生し協会で支援を検討していると報じられると多方面から問い合わせが殺到した。これをきっかけにプロジェクトが発足し現在、寄付総額は7千万円を超えるとみられる。

 多くの方が戦後復興の際のハワイからの支援などに言及し、喜んで協力してもらっている。9月にハワイで取り組みを報告すると州知事も喜んでくれた。ウチナーンチュとして誇らしい。現地の県人会によると復興は進んでいないようで、島民が安心して暮らせるように引き続き県民の皆さんの協力をたまわりたい。募金活動は来年3月までだが、今後もどのような支援ができるかを考えると共に、将来的には現地で交流して友好の輪を広げていきたい。


町田直美さん 宜野湾ちゅら水会代表

 7月にスイス・ジュネーブで開かれた国連の先住民族の権利に関する専門家機構(EMRIP)の会合に出席し、声明文を読み上げた。わずか2分の発表時間で、米軍基地から派生する沖縄の環境問題を国際社会に伝えようと必死だった。

 米軍普天間飛行場から泡消火剤が流出したことや、基地に隣接する宜野湾市内の小学校の運動場の土壌から有害な有機フッ素化合物(PFAS)が検出されたことを報告した。会の調査では、米国の基準値の27倍と大幅に超過していた。

 軍事化の下で沖縄の子どもたちの安全と教育の権利が脅かされているのに、日米政府は対策を取らない。国連先住民の権利宣言には環境に対する権利も明記しており、これをもっと活用すれば、全国の環境問題の解決につながると感じた。多くの人が知る必要がある。

 国連報告や国や県、市への要請に明け暮れたが、現状は変わっていない。子どもたちの未来のために、現状が変わるまで声を上げ続ける。それが大人の責任だと思う。