道路に電気、水道…インフラ復旧見通せず 沖縄県出身者、余震で不安 物資不足「支援を」 能登半島地震


道路に電気、水道…インフラ復旧見通せず 沖縄県出身者、余震で不安 物資不足「支援を」 能登半島地震 地震で物が散乱した金沢市内の新川さんが経営するバーの店内(新川さん提供)
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 能登半島地震は4日、発生から3日が経過した。被災地では道路や電気、水道などのインフラ復旧のめどが立っておらず、県出身者の中には断水などで困っている人もいる。自宅や店舗で物が散乱する被害に遭った人もおり、石川県沖縄県人会事務局長の新川日出雄さん(51)=金沢市=は「被災地への募金をしていただければありがたい」と支援の必要性を訴える。石川県出身の沖縄県在住者でつくる「沖縄・石川県人会」は支援を検討している。

 石川県沖縄県人会で年1回ほどの定例会に集まるのは20~30人。地震後に新川さんが連絡を取ったのはこのうち4~5人で、ほとんどの人の安否確認ができたという。震度6強を観測した七尾市に住む女性からは、地震当日は息子と一緒に小学校の体育館で一夜を明かしたと聞いた。自宅は断水が続いているようで「大変だと思う」と気遣う。

 新川さんが金沢市内で経営する飲食店は食器や酒瓶などが床に散乱し、廊下の壁がはがれ落ちるなどの被害が出た。「余震が収まったので片付けができる」とため息をついた。県民に対して「伝えたいことは一つ。備えあれば憂いなし。準備しておくことが大事だと強く思った」と話し、防災グッズや食糧の備蓄など、日ごろからの備えを呼びかけた。

新川さんが地震直後に金沢市内の自宅近くで撮影。山側の所で道路が崩れている(提供)

 川上直樹さん(43)=沖縄市出身、学童保育スタッフ=は金沢市に住み、同市の南にある白山市の社会福祉施設に勤めている。「海の近くなので子どもたちも不安を抱えている。みんなでケアしていきたい」と話す。能登町と輪島市にも系列の入所型施設があり、入所者の家族には連絡が取れていない人や実家が全焼した人もいる。他のスタッフが物資を持って行こうとしたものの、道路の状態が悪く入りにくい状況だったという。「一刻も早く手伝いたい。首里城が燃えた時も石川の人たちや富山のバスケットチームが支援をしてくれた。沖縄好きの人たちが多いので、県出身者として恩返しができたら」とはやる気持ちを抑えた。

 演出家の比屋根秀斗さん(37)=富山県氷見市、うるま市出身=は2日間、高台に避難し車中で過ごした。自宅マンションの水道管が地震で破裂して断水している。復旧の見通しは立たず、給水に使うポリタンクも手に入りにくい状態だという。知人が支援物資を送ってくる動きがあり「周りの人たちが動いてくれているので、自分もできることはやっていきたい」と話した。

 被災地へ物資を運ぶなどの支援に入ったボランティアの女性によると、生理用品に困っている人もおり「ナプキンを持っていないか」と女性に尋ねられることもあった。「女性への支援が足りていない」と訴えた。

 県内では義援金を送る動きも出ている。沖縄・石川県人会の野里洋会長(81)は「死者も増えているので心を痛めている。余震が続いているので心配だ。事務局長と義援金を集めて送ろうという話をしている。近く沖縄にいる県人に呼びかけていきたい」と話した。

(中村万里子、南彰、慶田城七瀬)