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普天間飛行場抱える宜野湾市民「早く返還を」 県内移設に思いは複雑


普天間飛行場抱える宜野湾市民「早く返還を」 県内移設に思いは複雑 米軍普天間飛行場(資料写真)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 名護市辺野古の新基地建設で、国が大浦湾側の工事を強行した10日、県内各地から批判と複雑な心境の声が相次いだ。
 宜野湾市役所を訪れた市我如古の大濱節子さん(89)は「普天間の返還は喜ばしいが、移設先が同じ県内の辺野古だなんて。複雑な気持ちだ」とこぼす。幼い頃に沖縄戦を経験した。「辺野古が戦争勃発の場所になってほしくない」と語気を強めた。宜野湾市在住の40代男性は「名護の方には負担をかけるが、宜野湾市民としては1日も早く返還してほしい」と複雑な表情を見せた。

 石垣市の石嶺蘭沙(らさ)さん(36)=自営業=は、軟弱地盤の問題があるにも関わらず工事を強行したことを疑問視する。陸自石垣駐屯地配備を巡り、石垣市長が住民投票を実施しなかったことを踏まえ、「辺野古も石垣も住民の声がないがしろにされるという構図が似ている」と指摘し、国に住民の声を聞くよう望んだ。

 ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会の清水早子共同代表は、県と事前協議せずに工事を強行したことについて「司法も機能せず、国も工事を強行した。民意が反映されていない」とし、「国は着々と戦争のために準備を進めている」と危機感を募らせた。

 八重瀬町の女性(72)=農業=は「復帰して50年余がたつのに、沖縄だけ違う扱いを受けている。差別を感じる」と顔をしかめた。埋め立てに使用される土砂の採取場所に糸満市と八重瀬町があることに触れ「基地そのものも嫌だが、南部の土が使われるというのがさらに嫌だ」と力を込めた。
 (石井恵理菜、岩崎みどり、照屋大哲、友寄開、藤村謙吾)