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「海を殺すな」 国、「宝の海」に次々と石材投下 市民ら陸・海上で抗議 沖縄・大浦湾、埋め立て続行


「海を殺すな」 国、「宝の海」に次々と石材投下 市民ら陸・海上で抗議 沖縄・大浦湾、埋め立て続行 メッセージボードを掲げ、辺野古新基地建設に抗議の声を上げる人たち=11日午後0時18分、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前(ジャン松元撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 国の「代執行」という強硬手段によって、新たな局面に入った名護市辺野古の新基地建設。軟弱地盤が広がる大浦湾では着工2日目の11日も作業が続き、コバルトブルーの海に次々と石材が投下された。市民らは海上から、米軍キャンプ・シュワブのゲート前から「海を壊すな」と声を張り上げた。玉城デニー知事が「沖縄の苦難の歴史に一層の苦難を加える」と表現した国の強行に対し、識者は県民自身が歴史から地続きの現在について学ぶ必要があると指摘する。 

 沖縄防衛局が名護市辺野古の大浦湾側海域で工事に着手してから一夜明けた11日、ヘリ基地反対協議会海上行動チームは大浦湾で船とカヌーを使った抗議活動を展開した。
 カヌーが海上保安庁の警備ボートとにらみ合う中、ボートの背後にある台船では土砂を積み込む作業が慌ただしく続いた。「宝の海」を埋め立てる国の強行に、怒りの声が響いた。

 午前10時ごろ、土砂陸揚げに使うK9護岸に土砂を山盛りに積んだ台船が近づくと、4隻のカヌーは工事を阻止しようと勢いよく発進したが、程なく海保のボートに阻止された。同じ頃、数百メートル東の海域で、埋め立てに使う石材を積んだガット船(運搬船)が機材を積んだ台船に横付けされ、石材を積み替え始めた。石材が台船に積まれる度に白いほこりが舞い、2時間ほどで台船上には石材が山のように積まれた。

 カヌーのメンバーは「海を殺すな」「土砂投入するな」と書いたプラカードを掲げて抗議を続けた。数年ぶりに海上から辺野古の様子を眺めたという具志堅邦子さん(68)=愛知県=は「不可能な工事を強行し、税金を投入して自然を破壊する政府の行為は理解できない」と憤る。

 米軍キャンプ・シュワブゲート前では午前8時50分ごろから、工事に抗議する人たち約50人が座り込んで「戦争のための基地はいらない」「代執行は認めない」などと声を上げた。朝と正午、午後3時ごろの計3回、ダンプの搬入に合わせて座り込んだ。警察官が座り込む人たちを抱きかかえて排除すると、工事に使用する石材や資機材を積んだ車両は次々と基地内へ入っていった。10年以上抗議活動に参加する男性(75)=南風原町=は「大浦湾に石材が投入されてショックを受けたが、ここまでやってきて諦めるわけにはいかない。軟弱地盤の問題もある。工事断念まで引き続き声を上げていく」と気勢を上げた。 

(武井悠、梅田正覚)