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沖縄県運営の水道管、36%が耐用年数超 交付金減で更新進まず


沖縄県運営の水道管、36%が耐用年数超 交付金減で更新進まず
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 沖縄県企業局が運営する導水管、送水管のうち、3分の1以上が法定耐用年数を超え、老朽化への対処が必要な状態にあることが20日までに分かった。16日に発生した、うるま市での導水管漏水事故で、生活を支える水道インフラの重要性が改めて浮き彫りになった。漏水の原因は特定されていないものの、老朽化による腐食の可能性も指摘されている。

 漏水が発生したうるま市昆布の県道75号の周辺では、漏水前に道路工事などは行われておらず、掘削ミスによる破損の可能性はない。導水管は1976年の使用開始で48年となる。

 導水管に使っている鋼管の法定耐用年数は40年だが、企業局は他府県の事例や日本水道協会の維持管理の指針などを参考にして局内で検討し、更新基準として55年を設定している。

 2022年度末の時点で、企業局の管路の総延長712・3キロのうち、法定耐用年数を超過しているのは262・2キロで36・8%に当たる。更新基準についても29・4%が超過している。

 県企業局の老朽化施設の更新や耐震化などの施設整備が遅れている背景には、沖縄振興公共投資交付金(ハード交付金)の減額がある。

 県企業局はハード交付金を活用し、計画的な更新や耐震化を行ってきた。しかし、県全体のハード交付金がここ数年減少傾向にあるため、県企業局の予算も減少。更新・耐震化の事業に遅れが出ている。事業の遅れにより、昨年の台風6号では、設備の不具合で宜野湾市と中城村の一部で断水が長時間にわたるなど、県民への影響も出てきている。

 (沖田有吾、中村万里子)