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「戦争は何も解決しない」 武力衝突の回避を目指し対話継続を 「台湾有事」シンポで総括


「戦争は何も解決しない」 武力衝突の回避を目指し対話継続を 「台湾有事」シンポで総括 対話による武力衝突の回避に向けて話し合う「『台湾有事』を起こさせない・沖縄対話プロジェクト」の総括集会出席者ら=21日、那覇市古島
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 対話を通じた相互理解により武力衝突の回避を目指す「『台湾有事』を起こさせない・沖縄対話プロジェクト」の総括集会が21日、那覇市の教育福祉会館で開催された。過去に開催したシンポジウムのパネリストを含む5人が登壇し「台湾有事」を起こさせないために、いかに意見の異なる人との間で対話を続けていくかなどについて来場者と話し合った。

 プロジェクトは2022年10月に発足。23年に3回のシンポジウムを開催し、台湾、中国、沖縄・日本の研究者やジャーナリストらを招き議論を交わした。参加者は、沖縄戦の戦跡や米軍基地問題の現場を訪れ、沖縄について学んだ。

 同プロジェクトの活動を通じて確認したことを「いかなる意味においても、戦争は答えではない。戦争は何も解決しない。私たちは、戦争を拒否する」など8項目のメッセージとして発表した。中国に対する抑止力の必要性については結論を出さず「継続的に議論していきたい」とした。

 宮良麻奈美さん(石垣市住民投票を求める会)は、台湾の民進党支持者の「反戦平和の言葉の矛先を自分たちに向けないでほしい。問題の元凶は自分たちではない」という声を紹介し「どんな伝え方をすれば、台湾の多くの人を突き放すことなく議論の呼びかけに応じてもらえるのか模索している。意見が違っても対話の用意がある人を探し出していく必要がある」と話した。

 沖縄大の高良沙哉教授は、海外からは憲法9条によって自衛隊の肥大化に歯止めが掛かるという一定の信頼があると指摘し、「有事」を起こさせないために「他国からも信頼されている9条を風化させないことが、私にできることだ」と話した。 (沖田有吾)