県の工事中止要求無視 大浦湾着手1カ月 国「協議の対象外」


県の工事中止要求無視 大浦湾着手1カ月 国「協議の対象外」 台船(手前)からパワーショベルで海中に石材を投入する作業が続けられる大浦湾=9日午後0時33分、名護市(ジャン松元撮影)
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 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設問題で、国土交通相による代執行を受け沖縄防衛局が大浦湾側の海上ヤードの工事に着手してから10日で1カ月となった。6日には辺野古崎付近で新たな護岸工事も開始した。一方、県は海上ヤードも環境保全面で当初承認に基づく事前協議の対象になるとして、7日に質問状を国に送付。協議が調うまで工事の中止を求めたが、国は海上ヤードは協議の対象外だとして工事を続けている。

 大浦湾では9日午前9時すぎにガット船が作業船に接岸し、石材が移される様子が確認された。午後0時10分ごろからは、海上の台船から重機で石材を海中に投下した。

 玉城デニー知事は9日夕、取材に「事前協議はまだ調っていない。質問状も出しており、誠意ある対応をしてほしい」と述べ、改めて工事の中断を求めた。

 防衛省の茂木陽報道官は同日の記者会見で「普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現するため、自然環境や住民の生活環境にも配慮しつつ、辺野古への移設工事を着実に進めたい」と述べ、工事を進める考えを示した。 (知念征尚まとめ)