沖縄返還めぐる「日米密約」報じた元毎日新聞記者・西山太吉さんの像制作 彫刻家・金城さん あす24日除幕 沖縄・読谷村


沖縄返還めぐる「日米密約」報じた元毎日新聞記者・西山太吉さんの像制作 彫刻家・金城さん あす24日除幕 沖縄・読谷村 沖縄で講演する西山太吉さん=2013年11月29日、那覇市内
この記事を書いた人 Avatar photo 島袋 良太

 【読谷】沖縄返還交渉の日米密約を報じた元毎日新聞記者の西山太吉さん(享年91)の1周忌を24日に迎えるのを前に、平和や基地問題を問い続ける彫刻家の金城実さん(85)=写真、読谷村=が西山さんの胸像を制作した。24日に村儀間の工房で除幕式を開く。

 当時の日本政府は、西山さんが報じた沖縄返還に伴う原状回復費用を日本側が肩代わりする密約を否定。西山さんは逮捕され国家公務員法違反で有罪判決を受けた。2000年に米公文書で密約の存在が確認され、外務省元幹部も認める証言をした。西山さんは長年沈黙を続けたが、その後ジャーナリストとして「国家のうそ」を告発した。


眼光鋭く立つ西山太吉さんの胸像を前に思いを語る彫刻家の金城実さん=22日、読谷村儀間のアトリエ

 金城さんは2007年、自身が関わる彫刻展の記念講演で訪れた西山さんと初めて会話した。13年にも別の講演会の場で会った。忘れられないのは13年、西山さんの妻啓子さんが亡くなった際にお悔やみの電話をした時。「自分は100歳まで生きる。まだ死ねない。頑張ろうな金城さん」と言われた。言葉は少ないが、今も続く沖縄の理不尽な基地負担を憂う声だった。

 西山さんの像は当初、悲しむような表情だったが、最終的に眼光鋭く、怒りをにじませたものに仕上げた。除幕式は24日午後6時から。一般参加も可能。除幕の後には会費2千円で「しのぶ会」も開く。

 (島袋良太)