有料

「これからどうすれば。一日中考えている」 石川県から沖縄へ避難の一家、先の見えぬ生活に不安と葛藤 能登半島地震


「これからどうすれば。一日中考えている」 石川県から沖縄へ避難の一家、先の見えぬ生活に不安と葛藤 能登半島地震 能登半島地震で被災し、1月下旬から浦添市内に身を寄せる(左から時計回りで)本谷まり子さん、郁夫さん、和夫さん、阪口裕子さん、本谷桂子さん=24日、浦添市内間の内間市営住宅
この記事を書いた人 Avatar photo 上江洲 仁美

 能登半島地震で被災し、石川県珠洲(すず)市三崎町から沖縄県浦添市の内間市営住宅に避難している家族がいる。本谷郁夫さん(95)とまり子さん(92)夫妻は、長女阪口裕子さん(66)と次女本谷桂子さん(64)と共に、1月28日から内間市営住宅に入居している。夫妻は高齢で介護が必要なため娘2人が世話をしている。市営住宅に滞在できるのは最大で6カ月間で裕子さんは「珠洲の家をそのままにしておけないし、これから先どうしたらいいか1日中考える」と苦しい胸の内を語る。

 りゅうせきグループに勤める次男和夫さん(58)は、浦添市に住んでおり、同グループの災害支援で4人は1月11日に沖縄に到着した。当初は那覇市内のホテルに滞在したが両親に介護サービスを早急に受けさせる必要があったため、浦添市に相談し、市営住宅への入居が決まった。

 震災発生時、4人が避難した三崎町の旧本小学校では停電や断水で不自由な生活を強いられた。ストーブはあるものの寒さは厳しく、布団や毛布を取りにいったん自宅に戻ったが、家は戸が外れるなどひどい状態で、全壊の罹災(りさい)証明を受けた。

 沖縄での生活は1カ月以上になる。郁夫さんは「いつのまにかふるさとの夢を見ている。『あいつはふるさとを捨てて逃げた』と思っている人もいるんじゃないか」と苦しい思いを打ち明けた。

 桂子さんは「珠洲の家を放っておくわけにもいかないが、戻っても住むところがない」と葛藤する。裕子さんは「最初は暖かい沖縄での暮らしを楽しもうと思っていたが今は珠洲に帰りたい」と語り、「次の入居場所や珠洲の家をどうするか。生活が不安定で、どうしたらいいか悩む」と話した。

 (上江洲仁美)