車いすで乗車可能のUDタクシーだけど・・・ 車両がない、当日予約できないなどで利用困難 沖縄県内NPOが実態調査


車いすで乗車可能のUDタクシーだけど・・・ 車両がない、当日予約できないなどで利用困難 沖縄県内NPOが実態調査
この記事を書いた人 Avatar photo 小波津 智也

障がい者の自立を支援するNPO法人県自立生活センター・イルカ(宜野湾市)は27日、車いす利用者らが乗車できるユニバーサルデザイン(UD)タクシーの対応に関する調査を実施した。車いす利用者が配車予約した際の対応を調査し、イルカによると5、6社に電話して1社が応じた。拒否した1社を除く他のタクシー会社は、車両が利用中だったり未所有だったりすることを理由に応じられなかった。

共生社会や多様性ある社会づくりが求められる中、県内のUDタクシー環境は、障がい者が気軽に利用できる状況にないことが改めて明らかになった。

UDタクシーの対応に関する調査は昨年10月に全国で行われ、障がい者団体「DPI日本会議」は乗車や予約の拒否が3割超あったとし、国土交通省に改善を求めている。イルカも全国調査に参加しており、昨年13社に予約したところ全て乗車を拒否されたという。

DPIの調査を受け、県ハイヤー・タクシー協会(東江一成会長)は今年1月、障がい者や高齢者らに対する接客スキル向上の研修を実施し、イルカの監修でUDタクシーの乗降車演習などを行っていた。

今回はイルカ単独での調査。UDタクシーは予約が必要な福祉タクシーとは異なり、車両を走らせながら客を探す「流し」など気軽な利用が想定されている。しかし、この日最初に電話した業者は「当日予約では対応できない。1週間以上前の予約が必要」と説明し予約を拒否し、想定に実態が追い付いていない現状が浮き彫りになった。

また、予約に応じたタクシーも乗車の際のスロープ設置に手間取り、助手席を何らかのトラブルで折りたためず、実際には乗車できなかった。

スムーズな乗車対応や車いす利用者向けの車両点検などの課題も明らかになっている。

ユニバーサルデザイン(UD)タクシーの対応に関する調査に参加し、事業者に配車予約する男性=27日、宜野湾市伊佐のNPO法人県自立生活センター・イルカ

車いす利用者で調査に参加した浦添市の30代男性は「前回は全て拒否されたので、今回乗車に応じてくれる会社がいてよかった」と一定の成果があったとした。「今回の結果も踏まえ、やはりタクシー業界には2カ月に一度は研修をしてほしい。運転手だけでなく、オペレーターの研修も行うことで、UDタクシーが気軽に利用できる環境になってほしい」と要望した。

(小波津智也)