【名護】京都市で行政書士として働きながら名護市辺野古に通い、新基地建設反対の声を上げた池田哲也さん(享年62)のお別れの会が2日、名護市辺野古の平島近くの海上で開かれた。妻の文子(ふみこ)さん(67)=京都府宇治市=は工事が進む護岸を背に「(哲也さんには)思いを遂げられなかった悔しさがあったと思うが、天から皆さんの行動を後押ししていると思う」と来場者に話し、海上に散骨し、花を手向けた。
文子さんによると、哲也さんは京都市の法律事務所に勤務し、定年退職を控えた2015年ごろから年に2~3回、辺野古に足を運ぶようになった。再雇用で働きながら、19年2月、埋め立ての賛否を問う県民投票に合わせて県内に4泊し反対を呼び掛けた。帰宅後に「足が動かへんのや」と妻に言い残して入院、1週間後に脳梗塞で急死したという。
辺野古の抗議活動に通い続けた理由について、元同僚で沖縄に同行したこともある高田恵子さん(76)=滋賀県=は「優しい人だった。若い娘さんを小児がんで亡くし、命の大切さを知っていた。戦争につながる基地はいけないという思いがあったのではないか」と推し量る。
海上には3隻の抗議船と10艇のカヌーが集まり、参加者は3人の牧師と共に賛美歌を歌って哲也さんの生前をしのんだ。佐敷教会の金井創牧師は「沖縄の痛みを理解し取り組んでこられた。その歩みを共に見送り、平和のために闘っていこう」と言葉を贈った。 (増田健太)