那覇市有地の所有権を巡る贈収賄事件で、前那覇市議会議長の久高友弘被告(75)=収賄罪で起訴=らが市議会議長室で受け取った5千万円のうち、久高被告が300万円を自身の選挙資金に使用したとされることが6日、分かった。同日に那覇地裁(佐藤哲郎裁判長)で開かれた会社役員の被告(70)=東京都、贈賄罪で起訴=の初公判で、検察側が明らかにした。久高被告は昨年11月の逮捕前、琉球新報の取材に「ローンの返済や生活費にも使った」などと話していた。
検察側は冒頭陳述で、会社役員らが2021年2月に久高被告らに渡した現金5千万円の使途の一部を説明。久高被告が受け取ったとされる3500万円のうち、選挙資金のほか、知人への貸し付けとして1200万円、アルミサッシ改修工事代金や仮差し押さえ解除費用など自宅に関する費用として数百万円が使われたとした。
検察側は論告で「賄賂の供与後、久高被告からの働き掛けを受けた複数の市議によって議会でも(事件の発端となった)土地問題が取り上げられた」などとし、久高被告によって賄賂の趣旨に応じた権限行使がされたと指摘。「公務に対する信頼への侵害結果は非常に深刻だ」と今回の贈収賄事件を評した。