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平和への思い、研究の原動力 東恩納寛惇賞贈呈式 真栄平房昭さんの功績しのぶ


平和への思い、研究の原動力 東恩納寛惇賞贈呈式 真栄平房昭さんの功績しのぶ 贈呈式参加者と言葉を交わす故・真栄平房昭氏の妻・富美子さん(左)と長男の研さん(中央)=13日、那覇市泉崎の琉球新報ホール(大城直也撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 中村 万里子

 13日に琉球新報ホールで開かれた第41回東恩納寛惇賞(琉球新報社主催)の贈呈式には、受賞者の故真栄平房昭(ふさあき)さんの家族や研究仲間が出席し、琉球を巡る東アジア交流史研究に生涯をささげた房昭さんをしのび、その功績を共有した。長男の研さん(32)は「受賞が父の研究に誰かが触れるきっかけになれば、これ以上の喜びはありません」と語り、琉球史研究の発展を願った。

 研さんは、房昭さんが父の房敬(ぼうけい)さんの晩年に戦中戦後の体験史を本にしたことに触れ、「研究の原動力には沖縄戦を生き延びた房敬の存在、平和な島・沖縄への願いがあった」と語った。妻の富美子さん(72)は、病との闘いの中でも強かった房昭さんの書くことへの思いを振り返り、「ここまでこられたのも研究者や友人の皆さま方との良き出会いに恵まれたおかげだ」と感謝を述べた。

 選考委員の豊見山和行琉球大名誉教授が房昭さんの業績について報告。近世琉球史において、内政と外交・貿易が表裏の関係にあったことを解明した「旅役知行(たびやくちぎょう)」論を「さらに発展させる必要がある」と指摘。「同じ琉球史を学んできて最後に業績をお伝えできたことは身に余る光栄で感謝したい」と言葉を詰まらせた。

 (中村万里子)