潜伏中の男を追う中、見逃さなかった顔の特徴… 難事件解決に尽力 県警職員40人が退職 沖縄


潜伏中の男を追う中、見逃さなかった顔の特徴… 難事件解決に尽力 県警職員40人が退職 沖縄 家族や後輩たちに囲まれ花道を通る新垣等警部(中央)=29日、那覇市の県警本部
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 那覇市泉崎の県警本部で29日、退職者辞令交付式が開かれ県警職員40人が警察人生に幕を閉じた。式で県警の鎌谷陽之本部長が「社会正義のため中心となって汗を流してこられた皆さまのご労苦に対し、御礼を申し上げる」とあいさつすると、数々の難事件解決に力を尽くしてきた刑事らの目に熱いものがこみ上げた。前捜査3課次席の新垣等警部は1996年発生の女子中学生拉致殺害事件で、犯人逮捕の一役を担った。「今でも事件のことを思い出す。遺族や関係者の無念を晴らそうと、捜査員みんな、全力で取り組んだ」と振り返る。

 96年に本島北部で下校中の女子中学生(当時15歳)が男2人に拉致され殺害された事件。当時、機動隊から自動車警ら隊に派遣されていた新垣警部は県内に潜伏中の犯人の男一人を追っていた。浦添市内の野球場のベンチで寝そべる不審な男を見付けた新垣警部は、先輩警察官らと職務質問を試みた。手配写真と男の風貌は大きく異なり「別人か」ともよぎったが、犯人の特徴の一つだった眉間のほくろを新垣警部は見逃さなかった。動揺する男に詰め寄り、犯人逮捕にこぎ着けた。

 新垣警部は「退職前に現場の慰霊碑の清掃活動に参加し、手を合わせてきた。大切な家族を失う痛みは分かる。二度とこのような事件が起きぬよう後輩たちは、日ごろの職務にまい進してほしい」とエールを送り、慣れ親しんだ職場を後にした。
(高辻浩之)