親族をガソリンや包丁使い襲う、被告に懲役20年 裁判長、犯行の計画性を指摘 那覇地裁で判決 沖縄


親族をガソリンや包丁使い襲う、被告に懲役20年 裁判長、犯行の計画性を指摘 那覇地裁で判決 沖縄 那覇地裁(資料写真)
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 与那原町内で昨年7月、当時58歳の義理の兄に火を付けて殺害し、その妻で実の姉=当時54歳=を包丁で刺して殺そうとしたとして、殺人と殺人未遂の罪に問われた同町の無職の被告(51)の裁判員裁判で那覇地裁(佐藤哲郎裁判長)は26日、求刑通り懲役20年を言い渡した。

 佐藤裁判長は判決理由で、ガソリンや包丁などの凶器、包丁を使う際に手を滑らないようにするための手袋を用意するなど「周到な準備を遂げている」と犯行の計画性を指摘。義理の兄にいきなりガソリンをかけて火を付け、姉を包丁で複数回刺すなどした犯行が「残虐かつ危険極まりない」と判示した。

 被告の動機について、弁護側が主張した「重度のうつ病」による被害妄想の影響があったと認めた。一方で、犯行の背景に「他責的で思い込みをしやすい」という生来の性格もあったとし、「懲役16年程度が相当」とした弁護側の主張を認めなかった。

 地裁での判決言い渡し後には、刑事裁判の裁判官が有罪判決の証拠を使って結論を出す損害賠償命令制度に基づく非公開の進行協議が行われた。被告側は、被害者側の約6800万円の賠償請求を「認諾」し、全面的に受け入れた。