ガソリンで親族に火、包丁で刺す 殺人罪などに問われた男 初公判で起訴事実を認める 那覇地裁 沖縄


ガソリンで親族に火、包丁で刺す 殺人罪などに問われた男 初公判で起訴事実を認める 那覇地裁 沖縄 那覇地裁(資料写真)
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 与那原町内で昨年7月、当時58歳の義理の兄に火を付けて殺害し、その妻で実の姉=50代=を包丁で刺して殺そうとしたとして、殺人と殺人未遂の罪に問われている同町の無職で被告の男(51)の裁判員裁判初公判が16日、那覇地裁(佐藤哲郎裁判長)で開かれた。被告は「間違っているところはない」と起訴事実を認めた。量刑が争点となる。

 起訴状によると、被告は2023年7月6日午後1時半ごろ、与那原町内の自宅の2階玄関先で義兄にガソリンをかけてライターで火を付け、近くにいた実姉の左前胸部などを包丁で複数回突き刺し、重傷を負わせた。義兄は同8月に広範囲熱傷による多臓器不全で死亡した。

 冒頭陳述などによると、22年12月ごろから、被告は同居の母親と不仲になり、ひきこもるようになった。

 23年5月にハンマーを持った被告ににらみつけられた姉が、母に危害を加えられる危険性があると感じ、自身の居宅に母を連れ出して一緒に暮らすようになったという。

 孤立感を強めた被告は「(姉夫婦が自分を)家族から排除しようとしている」と考え、姉夫婦を殺害して、自殺しようと考えるようになった。その後ガソリンスタンドでペットボトルに複数回注油し、包丁や手袋などを用意したという。 姉は母と暮らし始めた後、町役場や精神保健福祉センターなどに被告のことを相談していた。

 一方で、被告は事件当時、被害妄想を伴う重度のうつ病だったという。