ICT×新聞で深まる学び
沖縄特化型デジタル教材「マナりゅう」をリリースするにあたり、NIEアドバイザーの甲斐崇氏と宮城英誉氏に、実際の使用感や授業での展開方法について伺いました。
「学習の個性化」に使いやすく 甲斐崇氏(西原東小校長)
1人1台の学習端末導入により、児童生徒が自らの興味関心のある課題についてさまざまな方法で調べ、学びを深める「学習の個性化」が進んでいる。一方で、インターネット上に点在する情報は玉石混淆(ぎょくせきこんこう)で、その精査は多忙な教師にとって大きな負担となっていた。信頼性が担保された情報が学習教材として一元化されたことは、教師・児童生徒双方にとって朗報だ。
マナりゅうでは、自分の住む市町村やSDGs、お仕事のページに関連記事がひも付いており、身近な課題を掘り下げる「総合的な学習」の授業や各教科等における探究学習に有用だ。個人的には児童生徒の職業観の醸成に向け、お仕事ページの拡充を期待している。
沖縄についての情報を網羅したマナりゅうは使い勝手のいい教材だ。新聞を読んでいない教師が沖縄の最新ニュースに触れる機会にもなる。ぜひ教材研究を重ね、情報を入手したり発信したりする技術を高め、その情報を主体的に選択し活用していく情報活用能力の向上にもつなげてほしい。
操作性の高さも魅力 宮城英誉氏(国頭村教委指導主事)
これまで多くの企業がデジタル教材を発表してきたが、沖縄に特化した教材は画期的だ。これこそ地元紙だからこそ作れた教材だろう。子どもでも直感的に使える操作性の高さも魅力だ。
特に授業で使いたいと思ったのはSDGsの項目だ。各ゴールの説明だけでなく、県内での取り組み事例が紹介されている。同じ沖縄に住む同世代の記事をきっかけに、問題を自分ごととして捉え「自分たちにもできるはず」という主体的な学びや、記事を題材に児童同士が意見を出し合う対話的な学びにつながるだろう。地域の項目も写真と記事を使い空間と時間の双方からアプローチするなどの授業展開が考えられる。
身近な問題を提起する地元紙は、子どもたちの「調べたい」という意欲を高めるのにもってこいだ。マナりゅうの記事は振り仮名も付いているので、低学年からニュースに触れることができる。沖縄を学び、社会につながる新たなツールとして活用が期待される。
「GIGAスクール」応援したい
文部科学省が推進するGIGAスクール構想によって学校現場でのICT活用が進む中、沖縄県内の学校でもデジタルツールを活用した授業が広がっています。教科書もQRコードでつながるデジタル教材が大幅に増え、動画コンテンツやワークシートなどを使って、より多角的に学習できるようになっています。
琉球新報社はこれまで、新聞記事検索システム「キジサガス」を小中高校に有償提供し、デジタル新聞を活用した主体的な学びを支援してきました。一方、教育現場からは、全国一律の教科書にはない、「沖縄」についてより深く学べる教育コンテンツを求める声が寄せられてきました。
琉球新報社はNIE(教育に新聞を)に注力し、次代を担う子どもたちに新聞を活用した学びの実践に取り組んできました。
今回、子どもたちの学びをサポートする新たな展開として、小学校低学年から使えるデジタル学習教材サイトとしてマナりゅうを開発しました。
マナりゅうは使い方次第でさまざまな可能性を秘めた教材です。ニュースを主体的に読む力、地域や社会への関心を高め、課題解決に向けた想像力や思考力をはぐくむ一助になると期待しています。
※ご契約対象は学校・自治体ごととなり、一般・個人の方の利用は対象としていません。