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【識者】南城市長の対応、市民の信託に応えず セクハラ疑惑で議会招集拒否 徳田博人(琉球大教授)


【識者】南城市長の対応、市民の信託に応えず セクハラ疑惑で議会招集拒否 徳田博人(琉球大教授) 琉球大の徳田博人教授(行政法)
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 地方自治は二元代表制が原則だが、議会の招集権は首長にある。過去に議会を開かず、専決処分を乱用する首長がいたことから、議会側の請求でも議会を開けるよう、法改正がされてきた。

 ただ、臨時議会の招集請求に必要な「付議すべき事件」は、議会で審議される全ての事件というわけではない。(1)提案権が議会(議員)にあり、(2)内容が具体的であり、(3)法的根拠に基づく事件。この3要件を満たす必要がある。

 今の南城市は、特別職からのハラスメントについて無法状態に近い。今回の請求者が示した第三者委員会の設置は、議会で今後、ハラスメント防止条例を作る上で必要な調査であり、要件を満たしている。人権に関わる内容で、市民の信頼や職員の安全性につながる公益性があるので筋が通っている。市長の対応は、市民の信託・信頼に応えていない。

 今後、議長に招集義務が生じる。この権限は、二元代表制の一翼を担う議会の活性化のために、都道府県議会、市議会、町村議会の3議長会が求めてきたものだ。議長が自己拘束の条文を破ったり、先延ばししたりしては、自ら自治を狭めてしまう。

 首長の権限は強く、独裁にもなりやすい。議会による行政監視機能が重要だ。議会側も政治的な目的で動くのでは住民が冷める。公共的な目的に徹する姿勢が大切だ。 (行政法)